研究課題/領域番号 |
20K03956
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 茨城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
三宅 晶子 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 准教授 (00613027)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 銀河宇宙線 / 磁気乱流 / 太陽風 / 太陽圏 / 粒子加速 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽活動に伴う低エネルギー銀河宇宙線の強度変動(太陽変調現象)には、太陽圏内における磁気乱流の駆動メカニズムや太陽系近傍の白色矮星での粒子加速に関する情報が隠されている。本研究では、観測を再現しうる精密太陽変調モデルを構築することで、これら新知見の獲得に迫る。また同時に低エネルギー銀河宇宙線のエネルギースペクトルの数値解を汎用化し公開することで、銀河宇宙線による放射線被ばくや宇宙機の電子機器損傷等の宇宙利用リスク管理など、それを必要とする関連学術研究に貢献する。
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研究実績の概要 |
令和4年度も、太陽風速度の緯度依存性と非線形拡散過程を考慮した太陽圏内銀河宇宙線伝播コードの構築を進めた。加えて惑星間空間磁場乱流成分比の変動を導入し、観測で得られている乱流成分比の変動が宇宙線強度変動にどの程度影響を及ぼすのかを検証した。拡散係数やドリフト運動の減衰項に乱流成分比の観測結果を適用した結果、宇宙線陽子の月次スケールでの強度変動の変動率は乱流成分比を1とした場合に比べて大きくなることを確認した。この変動がAMS-02や地上の中性子モニターで観測されている月次スケール以下の強度変動に対応することを期待したが、今回の試験的導入では優位な相関は得られなかった。本成果は44th COSPAR Scientific Assemblyや物理学会で報告した。今後も引き続き最適な拡散係数モデルの調査を継続するとともに、太陽風速度の緯度依存性の導入を継続する。 他方、本太陽変調モデルの検証に有用なCALETによる低エネルギー粒子観測のデータ解析が進み、2015年10月から2021年5月までの銀河宇宙線電子・陽子の計数率を用いて太陽変調の荷電依存性を議論することに成功した。ドリフト効果を考慮した数値計算モデルでCALETによる低エネルギー電子・陽子計数率の変動を再現することに成功し、ドリフト効果が太陽変調現象に大きな役割を果たしていることを示す定量的な証拠が得られた。本成果は物理学会で報告するとともに、Physical Review Lettersに掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き、所属先での教育活動に要するエフォート増大などの理由で研究時間を確保するのが困難な状況が続いている。CALETの観測データ解析に大きな進展が得られた一方で、当初の計画事項に関しては遅れた生じたため、研究計画を1年延長した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画を1年延長し、令和5年度は精密太陽変調モデルを完成させるとともに、得られた物理的知見を論文や国際会議で成果報告する。またエネルギースペクトルの汎用化も進めるとともに、データ公開のためのデモサイトを構築する計画である。
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