研究課題/領域番号 |
20K03958
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
梶野 敏貴 国立天文台, 科学研究部, 特別客員研究員 (20169444)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 元素合成 / 銀河化学進化 / 超新星 / ニュートリノ振動 / 質量階層 |
研究開始時の研究の概要 |
超新星爆発で形成されるニュートリノ光球近傍では、ニュートリノどうしの衝突による多体量子効果としてフレーバー間の集団振動が引き起こされ、外層を伝播する間に電子との衝突によって再びMSW物質振動が生じる。これにより、超新星内部を伝播するニュートリノのエネルギースペクトルは大きく変化し、場所ごとに特徴的な元素が合成される。本研究の目的は、地上実験では不可能なν-ν散乱およびν反応実験に代わって、3世代6種類の超新星ニュートリノに起源を持つ元素合成過程を調べることにより、超新星内部におけるニュートリノ伝搬、フレーバー振動機構、質量階層、爆発メカニズムに対する影響、等を解明することである。
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研究成果の概要 |
太陽系の重元素は、γ過程(p過程)、s過程、r過程、ν過程、νp過程に起源を持つと考えられる。未解明であったMoとRuのp核は極超新星でのνp過程が起源であり、同時に炭素12のホイル共鳴状態の脱励起の役割を解明した。太陽系r過程元素の約90%がコラプサーと磁気回転駆動型超新星で作られ、残る10%が中性子星連星系合体で作られるとの結論を得た。銀河化学進化理論から、前者二天体からの寄与が宇宙進化において支配的であることを明らかにした。コラプサーr過程での超ウラン元素の核分裂で生じる中性子によってi過程とs過程が続いて起き、希元素(質量数~150)の組成パターンに強い偶奇性が現れることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
p核元素群でアイソトープ比が異常に高いMoとRuの起源は、Burbidge-Burbidge-Fowler-Hoyle(1957)の研究以来、未解明であった。極超新星でニュートリノ振動と原子核相互作用が重要な役割を果たすνp過程が起源であることと、炭素12のホイル共鳴状態の脱励起の役割を解明したことは、宇宙核物理、ニュートリノ物理、および核物理学にインパクトを与える。中性子星連星系合体がr過程元素の主要な起源天体でないことを示し、重力波天体と銀河化学進化の研究にインパクトを与える。コラプサーでr過程、i過程、s過程が共存しうることは、太陽系重元素の起源論の解釈に変更を迫る可能性がある。
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