研究課題/領域番号 |
20K03961
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
金森 逸作 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (60399805)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 格子QCD / マルチグリッドソルバー / マルチグッドソルバー / 線形ソルバー / マルチグリッド法 |
研究開始時の研究の概要 |
格子QCDの計算は、系統誤差を抑えた精密計算の時代に入った。系統誤差の主要な原因にカイラル対称性の格子化による破れがあるが、この破れが(ほぼ)ないドメインウォール型の格子化は計算コストの高さが欠点になっている。本研究は、格子QCDの数値シミュレーションでもっとも時間がかかる線形ソルバーの、マルチグリッド法を用いた高速化を目指す。さらにマルチグリッド法の特徴を活かした新しい配位生成アルゴリズムの開発を目指す。これによって、今より系統誤差の少ない精密な計算を、現実的な計算時間で可能にする。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、アルゴリズムの開発とコード開発の二つの側面を持つ。 コード開発については、昨年度までに開発を進めたフレームワークのGPU向けに移植を進め、性能を評価した。性能については国際会議 CCP2023 や物理学会で報告している。また、前年度までにスーパーコンピューター「富岳」向けにドメインウォール型格子フェルミオンのコードの改良を進めていたが、それを用いた成果も物理学会等で報告している。 ドメインウォール型の格子フェルミオンは、他の格子フェルミオンとは異なり、スペクトラムが正定値ではなく、多くの反復アルゴリズムで収束が保証されない。そのため、通常はフェルミオン演算子を自乗してスペクトラムを正定にしてから方程式を解く。一方で、本来記述したい物理的な自由度のスペクトラムは正定値であり、それを得るための処方箋も知られている。ただ、その際に Pauli-Villars 項として知られている演算子に対する線型方程式を解く必要があり、計算コストが高い。本年度は、後者の線形方程式をノード間の通信を避けながら近似的に解く手法を組み合わせ、スペクトラムをスペクトラムを正定値に近づける手法を試みた。マルチグリッド法では元の系より小さな粗い格子上での系をどのように定義するかが鍵を握る。上記の手法をもとに粗い格子上での演算子を作る方法をいくつか試し、その一つを物理学会で報告した。また粗い格子に移す際に必要な基底の生成についても、いくつか試行錯誤をはじめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
アルゴリズムの試行錯誤に手間取っているため
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今後の研究の推進方策 |
マルチグリッド法を用いたソルバーアルゴリズムの細部について、いくつかの実装とテストを繰り返し最適なものを見つけ出す。部品となる粗い格子上でのソルバー・元の格子上でのソルバーの振る舞いを見るに、現状ではマルチグリッド法としては機能しているとは言い難い。系を粗い格子にマップする際には、フェルミオン演算子だけでなく射影に用いる基底も重要であり、この基底の選び方について考察と試行錯誤を進める。
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