研究課題/領域番号 |
20K03963
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
浅田 秀樹 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (50301023)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 重力理論 / 重力波 / 宇宙物理 / 宇宙論 |
研究開始時の研究の概要 |
LIGO-Virgoと我が国のKAGRA望遠鏡による国際共同の重力波観測に対する理論研究を遂行します。電磁波(光)と同じように重力波にも波が変動する特定の方向(偏波)があります。重力波偏波の直接測定は未だなされていません。本研究では、上記の重力波観測による偏波の直接測定を可能にする定式化および手法を開発します。この手法によって、一般相対性理論をこえる重力理論模型の新しい検証が拓けます。
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研究実績の概要 |
NanoGravチームなど、複数のパルサータイミングアレイを用いた観測チームが、2023年6月、ナノヘルツ重力波の証拠を公表した。彼らの検出が確定すれば、その重力波の波長は数光年もの長さをもつため、パルサータイミングアレイは宇宙を探査するユニークなツールを我々に与える。なかでも、存在が示唆されている超大質量ブラックホール連星や宇宙初期のインフレーションによる背景重力波などが、そのナノヘルツ重力波の起源として有力である。しかし、超大質量ブラックホール連星からの重力波は、先行研究の多くでは、簡単のため平面波近似されていた。しかし、数十Mpc以内の比較的に近傍にある超大質量ブラックホール連星からの重力波は、波面の曲率が無視できない。この重力波の波面の曲率には、重力波からその波面までの距離の情報が含まれている。大雑把にいえば、球面の半径は、中心から球の表面までの距離だからである。そこで、我々のグループでは、近似を用いることなく、超大質量ブラックホール連星のようなコンパクトな領域から放射される長波長の重力波による、パルサータイミングの遅延を定式化することに初めて成功した(Kubo, Yamahira and Asada, Astrophysical J. 2023)。この定式化は、重力波源の方向だけでなく、そこまでの距離の効果も考慮している。したがって、我々の定式化を用いることで、原理的には、比較的近傍の超大質量ブラックホール連星までの距離をパルサータイミングアレイを用いて推定できることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パルサータイミングアレイを用いて比較的近傍の超大質量ブラックホール連星までの距離を推定可能とする定式化に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究は、地球(地上の電波望遠鏡)と単一のパルサーの間の重力波の遅延効果を定式化したものである。実際のパルサータイミングアレイは、多数のパルサーの間の相関を取るものである。よって、今後、今回の成果を多数のパルサーペアを観測する状況に発展させる予定である。
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