研究課題/領域番号 |
20K03966
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 光裕 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (80185876)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 確率過程量子化 / ランジュバン方程式 / 格子超対称性 / 連続極限 / 場の量子論 / 超対称性 / 巡回ライプニッツ則 / 格子場の理論 |
研究開始時の研究の概要 |
自然界には電子のような素粒子の仲間と光子のような素粒子の仲間があり、両者は性質が大きく異なる。しかし、この二つの種類の素粒子の仲間どうしの間にも超対称性と呼ばれる美しい対称性が存在する可能性があり、その結果として様々な素粒子の性質を説明することができるかもしれない。それを調べるための定式化を行うことが本研究の目的である。特に格子場の理論と呼ばれる定式化は、これまで第一原理から自然界の性質を引き出すことに成功してきた方法であるが、これを超対称性にも広げたいと多くの研究者が挑戦してきた難問であり、これに独自の方法で挑む。
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研究実績の概要 |
本年度は、これまでの知見を生かして確率過程量子化法への応用に一定の成果をあげることができた。確率過程量子化においては、目的とする量子系(主に場の理論)に対し、仮想的な時間変数を加え、1次元高い確率的拡散系を考え、その相関関数の確率変数に対する平均が、仮想時間無限大の極限で、元の量子系の(量子論的期待値の意味での)相関関数を与える。これを実際に数値計算に載せる場合、必ず離散化を必要とするが、最終的には連続極限を正しく取ることで欲しい物理量を得る必要があった。しかし、フェルミオンを含むような系などでは、その操作は非自明であり、有効な計算方法が望まれるところであった。我々は、この問題に対し、連続極限を取らなくても、すなわち離散化された仮想時間のまま、正しい結果を得る方法を提案することに成功した。具体的には、確率変数に関する平均操作の際に適切なリウェイト因子を挿入すれば良いことを示し、対象となる系に合わせた具体的な因子の形を与えた。これらの研究の背後には、隠れた超対称性が重要な役割を果たしており、長年の我々の格子超対称性研究の蓄積が成功に導いてくれた。現在、この結果に対する共著論文を執筆中であり、近いうちに発表できる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題の採択後、新型コロナ禍のため思うように共同研究が進められなかった。今年度に入って、ようやく対面での議論などもある程度できるようになり、少し遅れを取り戻しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ゲージ理論などのより現実的な系に対して、我々の方法がワークするかどうかを確かめていきたい。また、隠れた超対称性の果たす役割の深い理解やその応用についても研究を進めていきたいと考えている。
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