研究課題/領域番号 |
20K03972
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
高橋 智彦 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (10324956)
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研究分担者 |
岸本 功 山陽小野田市立山口東京理科大学, 共通教育センター, 准教授 (60399433)
関 穣慶 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 数学研究所専任研究所員 (60373320)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 弦理論 / BRST形式 / 降下方程式 / 閉弦2点振幅 / 弦の場の理論 / Dブレーン / BRST不変性 / ループ振幅 / 素粒子論 / Veneziano振幅 / 数値解 / 超対称性 / 非線形シグマ模型 / 連続ビラソロ代数 / タキオン真空 |
研究開始時の研究の概要 |
開弦の場の理論における閉弦の記述方法を確立し、そこから理論の構造を理解することによって、膨張宇宙や時空のコンパクト化に関わる閉弦のダイナミクスを明らかにしていくことが本研究の目的である。さらに、弦の場の理論の研究を通じて、弦理論におけるゲージ対称性の構造、弦理論の背後にある指導原理の全容を明らかにし、素粒子物理学における統一理論および重力の量子論の研究を進展させることを目指す研究である。
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研究実績の概要 |
弦理論の2点散乱振幅をBRST形式において計算するために、我々が提唱したmostly BRST exact 演算子に関連した研究を行った。 まず、複素上半平面上のコンフォーマル・キリング群のゲージ固定に対するファデーエフ・ポポフ行列式を用いて、様々なゴースト数を持つ閉じた弦の頂点演算子を構築し、これらの演算子がBRST形式における降下方程式をみたすことを明らかにした。この結果に基づき、ローレンツ共変なディラトン頂点演算子に対する降下方程式の解を構築した。さらに、ゴースト数3の局所的なディラトンの頂点演算子を用いて、ディスク上のタッドポール振幅の正しい結果を得た。ディラトン振幅の結果においては、コンフォーマル変換に由来するBRST exact項からの非零の寄与が、通常、世界面上の積分として与えられるオイラー数に等しいことを明らかにした。 次に、我々が構成したゴースト数3の閉弦頂点演算子を用いて、BRST形式において閉弦2点振幅を計算することに成功した。この計算法では共形不変性とBRST不変性が明白であり、従来の導出法にはなかった特徴となっている。 研究期間全体を通じて、閉弦2点振幅がBRST形式を用いて導出できることが明らかになった。これまでの研究で、タキオン真空における開弦の場の理論には、閉弦理論がもつゲージ対称性が含まれており、もっとも簡単なゲージ不変量が閉弦2点振幅を与えると予想されていたが、当初、閉弦2点振幅がBRST形式で計算できるという考え方すら(何十年もの間)なかった。この意味において、本研究で明らかにした結果は、開弦の場の理論によって閉弦を記述するために必要な最初の一歩であると言える。
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