研究課題/領域番号 |
20K03974
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
河野 宏明 佐賀大学, 理工学部, 教授 (80234706)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | パーシステントホモロジー / 量子色力学 / 現象論模型 / クォーク / 相転移 / ハドロン / トポロジー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では量子色力学の格子シミュレーションや、有効模型でのシミュレーションを行い、それをパーシステントホモロジーの手法で解析する事を行い、ハドロン相とクォーク相のトポロジー的な特徴を解析する。まず計算機上の離散化された格子空間で量子色力学やその現象論模型による統計力学的シミュレーションを行い、配位生成を行う。次にそれらから物理量を計算し、期待値や分布等を求める。それらの温度依存性、化学ポテンシャル依存性などを解析する。さらに、物理量をパーシステントホモロジーの手法を用いて解析し、その位相幾何学的な性質を調べ、クォーク・ハドロン転移の特徴を調べ、クォーク相とハドロン相を識別する。
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研究成果の概要 |
この研究では、ハドロン・クォーク転移をトポロジカル・データ解析の有力な方法であるパーシステントホモロジーを使って解析した。陽子・中性子の仲間であるバリオンや核力を媒介する中間子は総称してハドロンと呼ばれ、クォークで構成されている。高温や高密度ではハドロンが壊れてクォーク物質が出現すると考えられるが、このハドロン・クォーク転移は高温では連続的なクロスオーバー転移であり、両相の区別は難しい。この研究では強い相互作用の基本理論である量子色力学やその有効模型(現象論模型)によるシミュレーションのデータをパーシステントホモロジーの手法で解析する事で両者が区別できる事を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
クォーク物質は加速器での生成が成功したと考えられているが、それ以外にも宇宙初期の高温状態や中性子星などの超高密度天体の内部にも存在していると考えられる。したがって、高温高密度におけるハドロンからクォーク物質への転移は、素粒子・原子核物理学のみならず、宇宙物理学や天体物理学においても非常に重要な問題である。しかし、その転移の性質はまだよく解明されていない。この研究は、この転移の解明に新しい手法を提案するものであり、大きな学術的意義がある。また、素粒子・原子核や宇宙・天体物理学は人類の根源的な問に答えるものであり、その意味で社会的意義も大きいと考えらえる。
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