研究課題/領域番号 |
20K03978
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
長田 剛 東京都市大学, 理工学部, 教授 (50366845)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | クォーク・グルーオン・プラズマ / グルーオン飽和描像 / ハドロン多重発生 / 高エネルギー陽子・陽子衝突 / 高エネルギー原子核衝突 / グルーオンの飽和描像 / 相対論的流体模型 / グラズマ / 直接光子生成 / 幾何学スケーリング / 高エネエルギー原子核衝突 / クォーク・グルオン・プラズマ / グルオン飽和描像 / 素粒子多重発生 |
研究開始時の研究の概要 |
高エネルギー陽子・陽子衝突で生成される比較的小さな系においてもクォーク・グルーオン・プラズマの生成を示唆するデータが複数の実験グループから発表され、小さな系が熱平衡状態に近づく過程に研究者の関心が向けられている。 ここで、高エネルギーハドロン反応の初期状態としてグルーオンの飽和描像を仮定し、飽和運動量をスケーリング変数に取り入れた幾何学スケーリング模型を援用することで、小さな系の熱平衡化を調べる。我々の模型は熱平衡を記述する為の基本的な物理的要素である、系のサイズ、温度、多重度のすべてを含有している現象論模型である利点を生かし、多重度の大小と系のサイズの大小が熱平衡機構に与える影響を調べる。
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研究成果の概要 |
熱平衡化前の小さな系として、衝突エネルギーが核子あたり2.76TeVと7.00 TeV の陽子・陽子衝突及び、核子あたり5.02 TeVの陽子・鉛衝突によって生成される高温・高密度核物質を研究対象としてグルーオンの飽和描像に基づく幾何学スケーリングが成立するか否かを詳細に調べた。また、その描像に基づくカラーチューブ模型に立脚した実験データの解析を行った。その結果、非常に幅広い多重度の横運動量分布に対して幾何学スケーリング現象を確認することができた。またそれより得られた飽和運動量は、荷電中間子の多重度の1/6乗に比例し、反応領域のサイズは多重度の1/3乗に比例することが明かとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
人類が作り出せる最小の熱平衡系は何か?それは、どのように作ることができるのか?この問いへの回答はおそらく高エネルギー陽子・陽子衝突によって生成され、強い力で相互作用するハドロン物質の系であることが推測されている。この系の生成や時間発展は、原理的には量子色力学によって支配されているが、低運動量領域において摂動論的な取り扱いが困難なため、明確な回答を引き出すことはできてない。一方、本研究課題はクォークやグルーオンのダイナミクスの本質を取り入れた現象論的模型でこの問題に取り組んだ。本研究課題が提唱する模型の成功は、取り扱いの困難な量子色力学の理解にも役立つはずであり学術的にも意義が大きいと思われる。
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