研究課題/領域番号 |
20K03979
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鷹野 正利 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00257198)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 核物質状態方程式 / 中性子星 / 変分法 |
研究開始時の研究の概要 |
中性子星内部の高密度核物質では、核子が核力で相互作用しており、中性子星の構造や、重力崩壊型超新星爆発で誕生した原始中性子星の進化は、核物質状態方程式に支配される。本研究では現実的な核力モデルを用いて、新たに開発中の変分法によって核物質状態方程式を計算し、それによって予想される原始中性子星進化の様子を調べる。特に核子の運動量に依存する核力成分を精密に扱うことで、より信頼性の高い核物質状態方程式を求める。
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研究実績の概要 |
エネルギー汎関数を用いた変分法において、対称核物質に対し、2体核力のスピン軌道力を考慮する拡張を推進した。先行研究において、中性子物質に対し同様の拡張を行なったが、それを対称核物質へと適用する研究をさらに進めた。 昨年度までで、対称核物質に対し新たにスピン・軌道力相関を考慮した場合、それにより生じるポテンシャルエネルギーは厳密に取り入れた一方で、スピン・軌道力相関から生じる運動エネルギーは、Jastrow波動関数を仮定して2体クラスター項までを正しく取り入れ、さらに3体クラスター項の中で相関関数の最低次(3次)の直接項の効果を考慮したエネルギー表式を作成した。また相関の4次の効果であるnodal diagramのエネルギー寄与を摂動論的に評価するテスト計算も実施した。 今年度は改めて、スピン・軌道力相関から生じる運動エネルギー表式について、中性子物質と対称核物質の両方に対し、相関関数の最低次の直接項の効果を再確認した。またnodal diagramの寄与も再度評価し、まず中性子物質に対するエネルギー表式に関し、先行研究の表式よりも簡潔な表式が得られることを確認した。そしてその情報を反映させて、改めて対称核物質に対してnodal diagramを考慮したエネルギー表式を作成した。そしてnodal diagramの寄与を摂動論的に評価するだけでなく、このnodal diagramも含めた全エネルギーを最小化する数値計算も実行した。 AV8’ポテンシャルを用いた計算結果を他の量子多体計算法による結果と比較したところ、2核子交換項などの補正項のさらなる考慮が必要であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば絶対零度対称核物質に対するエネルギー汎関数の構築について、スピン軌道力を考慮する理論の拡張を完成させる予定であったが、現状でまだ補正が必要である傾向が判明したため、当該年度では完成に至らなかった。そのため、研究全体としてやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
スピン軌道力相関を考慮した絶対零度対称核物質のエネルギー汎関数完成を最優先に進めるが、それと同時に有限温度核物質への拡張の研究に着手している。今後もこれらを並行して進めることで、より効率的な状態方程式完成を目指す。
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