研究課題/領域番号 |
20K03986
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢野 孝臣 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (70437341)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ニュートリノ / 水チェレンコフ検出器 / 水チェレンコフ検出機 / 検出器 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、次世代超大型水チェレンコフ検出器(Hyper-K)による太陽ニュートリノの観測感度向上です。このために水チェレンコフ検出器に適した集光装置の開発を行います。Hyper-Kでは超純水を満たした水槽の周囲に光検出器を配置し、水槽内でおこったニュートリノ反応の微弱なチェレンコフ光を検出することで、その詳細を観測します。ここでは光検出器に椀状の反射鏡を取り付けることでより多くの光を集め、検出性能の向上を目指します。超純水中での長期間の使用に耐え、集光効率に優れた反射鏡を開発・設計・作成します。この集光装置の採用によって水チェレンコフ検出器の性能向上と同時にコストの削減も期待されます。
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研究実績の概要 |
本研究は、次世代超大型水チェレンコフ検出器ハイパーカミオカンデによる太陽ニュートリノの観測感度向上を最終目的とし、検出器の性能向上のための集光装置を開発を行うことを 目的としています。ハイパーカミオカンデ検出器では、ニュートリノ検出の標的になる純水をタンクにおさめ、その周りを囲うように光センサーをタンク壁面に設置します。ニュートリノが純水中の物質と反応して生じる荷電粒子は水中でチェレンコフ発光をおこし、この光を光センサーで捉えることでニュートリノを観測します。このチェレンコフ光は太陽ニュートリノの場合では光子数十個と大変微弱です。このため、観測に用いる光センサーの性能向上が重要となります。本本研究で は、集光装置として円錐を切り出した形のミラーを光センサーの周囲を囲うように設置することで性能の向上を目指します。 本年度はこれまでに1. 形状の設計・2. 素材の選定・3. 製造(手法の調査)を完了しました。また、4. 集光装置実機による性能の検証に向けた準備を開始しました。これらの研究結果はハイパーカミオカンデ計画自体にも反映され、その設計の決定に用いられました。本年度より行っている集光装置実機による性能の評価については、光学シミュレーションROBAST、高エネルギー実験で広く用いられるシミュレーションGeant4を用いた結果 と、実験的に得た集光率を比較することで行います。計画の最終年度となる令和六年度については、上記の研究のうち特に性能評価について引き続き行い発展させる予定です。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究において、1. 形状の設計・2. 素材の選定・3. 製造(手法の調査) について一定の結論を得ました。 これらはいずれも順調な進展を示しています。素材の選定については、インジウム・アルミニウム・誘電体多層膜に対して評価を行いました。ミラーを形成する手法についてはインジウム・アルミニウムが優れ、純水および硫酸ガドリニウムに対する化学的耐性については誘電体多層膜およびインジウムが優れるという結果を得ました。ミラー形状の設計改良およびミラー実機の性能評価については、感染症対策およびロシア・ウクライナ情勢の影響により進捗にやや遅れが見られました。これらについては最終年度となる令和六年度に完了を目指します。
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今後の研究の推進方策 |
令和六年度については、開発項目である1. 形状の設計・2. 素材の選定・3. 製造(手法の調査)について結果をまとめるとともに、これまでに開発したインジウム・アルミニウムの集光ミラーについて、実験的に集光の実性能の評価を行う予定です。
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