研究課題/領域番号 |
20K03987
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷口 秋洋 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (10273533)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ガスジェット型ISOL / レーザーイオン化法 |
研究開始時の研究の概要 |
研究対象となる核種(原子核の種類)の拡張を図るため、その生成装置であるガスジェット型オンライン同位体分離装置に結合したレーザーイオン化法の可能性を探る。 核反応により生成された不安定原子核がエアロゾル物質に吸着されてイオン源まで輸送されるという、レーザーイオン化へのガスジェット型特有の阻害要因に対し、対象原子(核)をエアロゾル物質から再分離した状態においてそのイオン化が実現し得るのかを、ガスジェット輸送系を模擬した装置などを用いて検証する。
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研究実績の概要 |
本課題は、ガスジェット型オンライン同位体分離装置(ISOL)では、前例のないレーザーイオン化法の実現可能性を検証を目的としている。 ガスジェット型ISOLでは、対象原子(核)はエアロゾル物質に吸着されてイオン源まで輸送されるため、単純にその状態にレーザーを照射しても対象原子はイオン化され難いと予想される。 本課題では、非放射性物質を使用し、対象原子がエアロゾル物質から再分離された状態へのレーザー照射でイオン化が実現できるかを検証する。このためガスジェット輸送系模擬装置により対象原子(インジウム)がエアロゾル物質(PbI2)に吸着し輸送される状況を再現し、(1)対象原子の輸送効率の最適化、(2)対象原子の再分離に関する基礎実験、他施設のレーザー装置を利用した(3)再分離状態へのレーザー照射とイオン化の検証、(4)実用化に向けた技術的問題点の抽出等が計画されている。 これまで(2)~(3)の研究として、装置内でPbI2に付着したInの原子が分離・気化される条件などが確認され、最終的なレーザー照射実験用装置の仕様等に関し、①Inの気化に表面温度で1100℃程度のヒータが要る、②アウトガス等のバックグラウンドの低減、③被加熱試料から上方10cm程度にレーザー照射野を設定できる等の知見が得られた。この知見に基づき、当該年度もR4年度に引き続き、レーザー照射実験に向けた装置の検討が進められ、①に関しては1100℃程度が担保されるヒータの製作及び②レーザーイオン化、輸送・計測部の仕様が検討された。①については、その仕様についてメーカ側から提案を受けたが、未だ詳細な仕様は確定されていない。一方、②については、レーザー入射実験が予定されている研究施設と議論を進め、イオン輸送光学系の耐熱性向上のための改良を行ったほか最終的に定まった実験スペースに合せた真空容器などの仕様が固められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまでの実験結果から、レーザー照射用装置に用いるヒータ表面における到達温度の仕様が1100℃程度とされた。R4年度においては、これを踏まえ、ヒータ上面に載せられる耐熱性試料容器が製作されたが、その一方、ヒータについては、あるメーカから仕様の提案を受けたが、最終的な結論が出ておらず、装置の製作スケジュールに遅れが生じている。 また、次年度への研究期間延長する際の理由として挙げたように、学事等において多忙であったことも遅れが生じた一因である。
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今後の研究の推進方策 |
本課題は、より多数の対象原子が付着したエアロゾル物質の生成とその原子の再分離、そしてその状態へのレーザー照射と生成イオンの確認により、この手法の実現可能性を検証するものであるので、その方針については大きな変更はせず以下のように進めることとする。 これまでに得られた結果を基に、レーザー照射用装置内で使用するヒータの仕様を速やかに決定し、当該装置の製作及びその真空装置を含めた架台の製作を進める。 当該装置の仕様の一つとして、試料の装置内へセットする方法があるが、これについては複雑な機構とせず簡便な方法にすることにした。イオン収集・収束と計数系及び装置全体の仕様及びスケジュールについては、レーザー照射実験の実施施設の担当者と既に複数回の打ち合わせを実施しており、詳細についてはさらに検討を進める。 レーザー照射装置の構築の後、実施施設において、所属機関で予め生成したサンプルを照射装置内にセット・加熱し、サンプルの上方にレーザーを照射しながら生成イオンを観測することで、ガスジェット型ISOLへのレーザーイオン化法の可能性を検証する。また、実用化に向けた技術的問題点も抽出する。 【研究計画の変更・課題】本課題を遂行するにあたり、試料加熱用ヒータの仕様が重要であることが判明したが、その仕様を満たすヒーターの入手には時間を要する可能性がある。その場合、安定性等に問題はあるが、従前の手製カンタル線ヒータを流用することも再検討する。
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