研究課題/領域番号 |
20K03989
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
作田 誠 岡山大学, 自然科学研究科, 特命教授 (40178596)
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研究分担者 |
鈴木 俊夫 日本大学, 文理学部, 研究員 (70139070)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ニュートリノ酸素炭素反応 / 電子酸素炭素反応 / 超新星爆発ニュートリノ / 軽原子核の巨大共鳴 / 巨大共鳴の粒子崩壊と電磁崩壊 / 超新星爆発ニュートリノの検出 / ニュートリノ炭素・酸素助大共鳴反応 / ニュートリノ炭素・酸素準弾性反応 / 酸素原子核の巨大共鳴 / ニュートリノ酸素原子核反応 / 電子酸素原子核反応 / 酸素炭素の巨大共鳴 / 電磁遷移 / 超新星爆発 / ニュートリノ |
研究開始時の研究の概要 |
原子核は陽子と中性子の集合体であり、その間に働く強い力で原子核を作り、束縛されている。陽子中性子は個々にエネルギー準位の下から詰まっている。外部(粒子)からの相互作用で高い準位に励起されるという独立粒子的な励起と別に、陽子全体、中性子全体が相互に振動するという集団励起(巨大共鳴)も存在する。本課題は、軽い安定核の典型である炭素酸素の巨大共鳴の崩壊過程をγ線によって定量的に測定、解明することが最初の目的であり、第2の目的は、その結果を超新星爆発ニュートリノの炭素酸素標的による中性カレント反応検出に応用するものである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、1)軽い安定核の典型である炭素、酸素の巨大共鳴領域からの粒子崩壊と直接電磁崩壊のγ線データ解析により、崩壊機構を定量的に解明すること、2)その結果を超新星爆発からのニュートリノ反応検出に生かすこと、である。2022年度には、原子核の核摸型の専門家である日大鈴木俊夫氏が本研究分担者になり研究組織が一層強化された。スーパーカミオカンデ(SK)実験は、2022年年度に純水にガドリニウム(Gd)0.03%導入し中性子検出能力を装備し、SK-Gd実験としてニュートリノ観測を開始した。これらの状況を考慮し、2022年度は目標の2)により力を入れた。これまでは、ランガンケらがニュートリノと酸素の巨大共鳴(16MeV以上の励起状態)生成反応からの5MeV以上のγ線検出が提案されていた。我々は、12.97MeVと12.53MeVの励起状態へのニュートリノ酸素中性カレント反応に着目し、4.4MeVγ線検出の断面積を世界で初めて計算した(文献1、PTEP2023, 013D02)。その際に、酸素原子核の励起状態である12.97MeVと12.53MeVの間のアイソスピン混合も定量的に評価した。さらに、10kpcの超新星爆発の際のSK実験での事象数の特徴についても議論した。第2にGdの熱中性子捕獲反応で生成された2つのγ線の角度相関を解析出版した(文献2、PTEP2023, ptad059)。この知見はSK-Gd実験やGdを中性子検出に使う実験には重要である。鈴木氏は、電子型ニュートリノとO18の荷電反応を核模型で計算し、O16の場合より大きな断面積を得た。O18の同位体含有率0.205%を考慮してSK実験による超新星ニュートリノのO18同位体による事象数を評価した。2名共に2022年度に主要な国際会議において招待講演を行い、これらの成果を発表した。成果は順調にまとまりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、1)軽い安定核の典型である炭素、酸素の巨大共鳴領域からの粒子崩壊と直接電磁崩壊のγ線データ解析により、崩壊機構を定量的に解明すること、2)その結果を超新星爆発からのニュートリノ反応検出に生かすこと、であった。まず第一に、作田と鈴木は酸素原子核の12.97MeVと12.53MeVの励起状態のアイソスピン混合を電子酸素散乱データを使い、定量的に評価した。そして、その結果を使い、ニュートリノ酸素中性カレント反応における4.4MeVγ線生成断面積を世界で初めて計算した(文献1、PTEP2023, 013D02)。さらに、10kpcの超新星爆発の際のSK実験での事象数の特徴についても議論した。第二に、本研究代表者がJ-PARCで2014-2015年に取得したGdの熱中性子捕獲反応データを使い、生成された2つのγ線の角度相関を解析し、結果を出版した(文献2、PTEP2023, ptad059)。今や、RENO実験やBaya Bay実験のようにGdを中性子検出に用いる液体シンチレータ型ニュートリノ検出器のみならず、純水にGdを導入した最初のSK-Gd実験のような水チェレンコフ検出器にもGdの応用が広がっている。このGd中性子捕獲γ線生成における2つのγ線の角度相関に関する結果は、Gdを使う検出器にとっては基礎的な知見であり、重要である。第三に、鈴木氏は、電子型ニュートリノとO18の荷電反応を核模型で計算し、O16の場合より大きな断面積を得た。O18の同位体含有率0.205%を考慮してSK実験による超新星ニュートリノのO18同位体による事象数を評価した。また、2名共に2022年度に主要な国際会議において招待講演を行い、これらの成果を発表した。成果論文は順調にまとまりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今年は、研究の最終年度である。鈴木は本年度は分担者ではないが、研究協力者として共同研究を続行する。作田は、第一の目標である酸素の巨大共鳴領域からの粒子崩壊のγ線データ解析を現在まとめている。第二の目標である超新星爆発からのニュートリノ反応検出については、去年度から大きく発展している。代表者作田と鈴木は、既に出版した12.97MeVと12.53MeVの励起状態へのニュートリノ酸素中性カレント反応の4.4MeVγ線の続きとして、12.97MeVと12.53MeVのγ線生成計算をまとめている。鈴木は、ニュートリノO18荷電交換反応の論文編集を行なっている。このように超新星爆発ニュートリノ検出の提案・計算精密化について、ユニークな成果を上げつつある。また超新星背景ニュートリノ研究について、作田はO.BenharとA.Ankowskiと共同研究し、ニュートリノ炭素酸素中性カレント準弾性反応でのγ線生成断面積の精密化論文をまとめている。この反応は、超新星背景ニュートリノ検出において最大のバックグランドであり、重要である。これまでは酸素について、A.Ankowski, O.Benhar, M.Sakuda, Phys.Rev.Lett.108, 052505(2014)が唯一発表されていた。今回は、炭素について精密化して出版する。データ収集中のSK-Gd実験(酸素標的)や2024年に実験開始するJUNO実験(炭素標的)に、超新星背景ニュートリノ発見に期待が掛かっており、それに必要な重要な計算を論文発表する予定である。
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