研究課題/領域番号 |
20K04023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上塚 貴史 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (30613509)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 中間赤外線 / 30ミクロン帯 / 光学フィルタ / メタルメッシュフィルタ / 赤色巨星 / 質量放出 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではまず、十分な物理強度と冷却耐性を備えた長波長中間赤外線用 (波長 25-40 ミクロン) 光学バンドパスフィルタを実現するべく、サンドイッチ型メタルメッシュフィルタという新型のフィルタを開発し、地上・宇宙観測に広く利用可能な長波長中間赤外線バンドパスフィルタ技術を確立する。さらに開発したフィルタを用い、小・中質量星の終末期にある OH/IR 星の観測を行うことで、これらの天体で起きているとされる活発な質量放出現象 (Superwind) の継続期間を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、長波長中間赤外線(波長:25-40ミクロン)向けの高効率・高強度の光学フィルタを開発・実用化し、OH/IR星と呼ばれる進化末期星の質量放出現象の解明を目的とした、長波長中間赤外線における高解像度撮像データの取得の実現を目的としている。この目的のため、光学フィルタの設計と製作、観測装置への搭載、およびこれを用いたOH/IR星の観測の実施を計画している。 これまでに観測予定である波長31.8、37.5ミクロン用のフィルタの設計解を得ており、令和四年度はこのフィルタの製作、および観測装置への搭載を計画していた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響による観測装置開発の大幅遅延に対応するため、令和四年度はこれを改善することに注力した。 本フィルタを搭載する観測装置は、東京大学アタカマ天文台6.5m望遠鏡搭載赤外線観測装置MIMIZUKUである。本フィルタは本観測装置の長波長中間赤外線チャネル(MIR-L)に搭載するものであるが、このMIR-Lチャネルの検出器システムの立ち上げが遅延しており、その整備を進めた。具体的には本検出器を駆動するための各種電気回路の設計・製作を実施し、検出器 ROIC(読み出し集積回路)との接続試験を通して正常動作を確認し、検出器の駆動・読み出しを正常に行うシステムを構築することに成功した。さらにROICではなく検出器本体を使用した冷却動作試験を開始した。 これらの整備は本研究課題で目指す観測の実現に必須の重要な項目であるが、本課題の助成金はフィルタの製作に集中する必要があったため、他の助成金等支援を利用して実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本課題で開発を進める光学フィルタ、およびこれを搭載する観測装置の整備は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて大きく遅延している。観測装置の整備の遅延は令和三・四年度の進捗により改善したが、当初の予定に比べると遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で実施予定の観測は、東京大学アタカマ天文台6.5m望遠鏡、および本望遠鏡に搭載する赤外線観測装置MIMIZUKUでしかなしえない観測である。しかし、これらの整備が新型コロナウイルス感染拡大の影響により遅延しており、当初予定していた内容での観測の実現が難しくなっている。これらの整備、およびフィルタ開発を引き続き進めるが、令和五年度のMIMIZUKUの観測開始の可能性もあり、本研究で開発するフィルタには劣るが別途調達を進めているフィルタを使用したOH/IR星の観測研究の可能性も検討する。
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