研究課題/領域番号 |
20K04027
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分16010:天文学関連
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
太田 直美 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (40391891)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 銀河団 / 精密宇宙論 / X線天文学 / 質量関数 / ダークマター / ダークエネルギー / X線天文学 |
研究開始時の研究の概要 |
銀河団は宇宙最大の天体であり、その形成や進化を理解することは、宇宙そのものの進化を理解することに役立つ。どのような質量の銀河団がいくつあるかを様々な距離に渡って精密に測定できれば、宇宙論モデルに制限をつけることができる。特に、最大の謎であるダークエネルギーの性質の解明に向けて新たな手がかりが得られると期待される。本研究では、2019年7月に打ち上げられたSRG衛星搭載eROSITA検出器による過去最大のX線全天サーベイを利用して、多数の銀河団のX線データを統一的に解析し、高精度の質量関数測定を実現することを目指す。
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研究実績の概要 |
銀河団は宇宙最大の天体であり、その形成や進化を理解することは、宇宙そのものの進化を理解することに役立つ。どのような質量の銀河団がいくつあるかを 様々な距離に渡って精密に測定できれば、宇宙論モデルに制限をつけることができる。特に、最大の謎であるダークエネルギーの性質の解明に向けて新たな手がかりが得られると期待される。本研究では、SRG衛星搭載eROSITA望遠鏡による過去最大のX線全天サーベイを利用して、多数の銀河団のX線データを統一的に解析し、高精度の質量関数測定を実現することを目的とする。これまで、X線領域で精度のよい質量測定を阻んできたのは、銀河団内部の複雑なガス進化に由来するスケーリング則の分散である。そこで、主成分分析から分散の物理起源を特定して取り除き、さらに遠方天体についても同様の解析を行ったうえで、広い赤方 偏移範囲に適用可能な質量推定法の確立を目指す。今年度はまず、eROSITAとすばる望遠鏡が共同で行った初期サーベイ領域にある大規模な可視銀河団を対象としたX線データ解析から、1)質量光度関係などのスケーリング則および2)銀河団の力学状態の測定を行った。ここで、1)今回得られたスケーリング則がダークマター中心集中度を考慮した新しいベースラインモデル(Fujita & Aung 2019)と一致することを示した。2)中心銀河とX線ピーク位置間のずれなど3種類の指標を用いて銀河団形態を分類し、可視銀河団サンプルには不規則型の割合が多いことを示した。続いて、小規模な銀河団を含む約千天体に対象を広げて、同様のX線データ解析を行った。これまでに各天体の中心銀河の同定をほぼ終えた。また、小規模天体は暗いため、似たような距離やリッチネスを持つ複数の天体同士をグループ分けし、平均光度などの観測量を求めるスタッキング解析の手法開発を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
eROSITA望遠鏡の初期サーベイ領域にある大規模な銀河団について、X線データ解析をまとめ論文を出版することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
まずX線データのスタッキング解析の手法を確立し、eROSITA 初期サーベイ領域中の可視銀河団についてスケーリング則を導出する。この手法によってサンプルが約千天体にまで拡大できれば、それを数種類の赤方偏移範囲にわけて同様の解析を行い、銀河団の質量スケール則の赤方偏移進化の有無や分散の起源について調査を行う予定である。次に、初期サーベイデータの解析手法をeROSITA第四期サーベイデータに適用する。
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