研究課題/領域番号 |
20K04047
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17010:宇宙惑星科学関連
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
道越 秀吾 京都女子大学, 宗教・文化研究所, 講師 (60572229)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 太陽系 / 土星 / リング / シミュレーション / 共鳴 / 密度波 / 小惑星 / 数値シミュレーション / 惑星・衛星・環の進化 |
研究開始時の研究の概要 |
土星の環の濃く明るい部分は,カッシーニ間隙という密度の薄い領域で隔てられていることは古くから知られている.この間隙は,環の外側を公転する衛星ミマスによって形成されたという説が有力であるが,カッシーニ間隙の空間構造や形成時間を十分に説明できない.また,数値シミュレーションによって間隙形成も確かめられていない.そこで,この研究課題では,大規模数値シミュレーションを行いカッシーニ間隙の形成過程を確認し,間隙に付随する微小構造の成因を明らかにする.
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研究実績の概要 |
土星探査機カッシーニ探査機は、土星の環の多様な構造を発見しましたが、特にカッシーニ間隙には多くの未解明構造が残されています。本研究の目的は、数値シミュレーションを用いて、土星の環のカッシーニ間隙形成の検証を行い、間隙に存在する構造の起源を明らかにすることです。 現実の土星の環のシミュレーションには、膨大な数の粒子と非常に長い進化時間の計算が必要であり、現在利用可能な計算機では完全なシミュレーションが不可能です。そのため、コードを十分に最適化し、現実の物理的性質を損なわないようにスケール変換を行って考察する必要があります。 2020年度には、シミュレーションコードの改良と最適化を行いました。2021年度には、土星の環と衛星の相互作用の数値実験を行いました。従来研究においても土星の環と衛星の相互作用に関するシミュレーションはありましたが、自己重力を考慮した3次元N体シミュレーションは今回が初めてとなります。 本研究では、3次元N体シミュレーションを行い、カッシーニ間隙が形成と関係すると考えられるリンドブラッド共鳴による密度波を再現し、シミュレーション結果を線形摂動解析の理論研究と比較しました。非定常構造や波動の伝播しないエヴァネッセント領域の発生などの定性的な理論予測は一致していましたが、定量的な検証のための十分な空間精度での長時間シミュレーションが現状では困難であるため、さらなるコードの高速化が必要であることが分かりました。 そこで、2022年度には、粒子衝突処理と時間積分のアルゴリズムを工夫することによって、シミュレーションの高速化を試みました。現状では、テスト問題では正しい結果が得られており、計算速度も向上していることが確認されています。今後の研究では、高速化されたシミュレーションコードを用いて、カッシーニ間隙における未解明構造の解析を進めて行く予定です。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カッシーニ間隙とリンドブラッド共鳴に関する先行研究を精査し、現実的なタイムスケールで間隙形成シミュレーションを実施するための適切なパラメータセットを検討しました。選択したパラメータセットを使用してシミュレーションを行い、リンドブラッド共鳴による密度波形成と粘性過安定の形成が可能となりました。一部は理論と一致していますが、予想されていなかった自己重力による微細構造が確認され、定量的な検証が行えていないためさらなる研究が必要です。 詳細な検証のためには、より大規模で長時間の計算が必要であることが明らかとなりました。そのため、研究計画を見直し、アルゴリズムとコード開発による高速化をまずは行うこととしました。そのため、研究計画が遅れてしまいましたが、現在はアルゴリズムの正当性検証と最適パラメータ探索を進めています。GPU対応は今後の重要な課題となります。
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーションコードの開発においては、昨年度に衝突アルゴリズムの改良を実施し、高速化を試みました。今後はコードの検証を継続して行い、実際のシミュレーション研究に適用できるように、検証とパラメータ探索を行う予定です。重力や衝突計算のGPU対応により、さらなる長時間計算を可能にすることが課題となっています。このため、今年度はGPU対応の計算サーバを導入し、コード開発を進める予定としています。 2021年度では、密度波の基本的なシミュレーションを実施し、線形摂動解析などの理論研究と比較を行いました。これはテスト計算であるため、粒子数は実際よりもかなり少なく設定していました。今年度は、改良されたシミュレーションコードを使用して、より現実に近いパラメータ設定でのシミュレーションを行うことを目指し、大規模な計算の実施を目標としています。そのうえで、理論や観測との整合性を確認し、研究成果としてまとめていく予定です。
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