研究課題
基盤研究(C)
本研究では、宇宙空間・磁気圏から地球に降り込む電子の影響を活用した超高層大気の質量密度の新たな計測手法を確立することにより、超高層大気の寒冷化や沈降などの長期的変化の描像を明らかにすることが目的である。まず、高度 80~150 km の大気質量密度を推定する手法開発を行い、次にその手法をDMSP衛星及び欧州非干渉散乱(EISCAT)レーダーの両データに適用することで、約40年間にわたる大気質量密度の長期トレンドを導出する。
極域超高層大気の各種長期変動を定量的に理解するために、(1)地球への電子降下に伴う超高層大気電離の詳細調査及び、(2)欧州非干渉散乱(EISCAT)レーダーデータに基づく極域電離圏イオン温度の長期変動に関する各種調査を実施した。その結果、(1)については、降下電子に働くミラー力の影響の有無により、100 km以下の高度領域での最大衝突率は1桁小さくなること等が、数値シミュレーションより明らかになった。(2)については、43年間のEISCATレーダーデータを用いて、電離圏温度の寒冷化の特徴を、従来より高い精度で推定可能となったことに加え、季節・高度による寒冷化の特徴の違いが明らかになった。
(1)の研究成果については、波動粒子相互作用によるピッチ角散乱に起因する高エネルギー電子の降下による電離圏応答の精密なモデル化において、ミラーフォースの重要性を示唆するものである。(2)の研究成果については、下層大気から熱圏までを包括する全大気圏における気候変動の理解と将来予測に貢献する内容である。
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