研究課題/領域番号 |
20K04077
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
鈴木 立郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), グループリーダー代理 (10415995)
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研究分担者 |
小室 芳樹 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(北極環境変動総合研究センター), グループリーダー (90396945)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 海洋熱吸収 / 気候システム / 海洋モデル / 地球温暖化 / 深層水形成 / 海底境界層 / 気候モデル / 熱吸収効率 / 海洋熱輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
気候システムの熱慣性に支配的な役割を果たす海洋は、地球温暖化時の余剰の熱量を吸収し、急激な気候の変化を抑制する。このため、将来の気候予測には海洋の熱吸収過程の理解が欠かせない。しかしながら、この海洋の熱吸収効率はモデル間でばらつきを持つ。この不確実性は、海面で吸収された熱を表層から深層へ運ぶ海洋の鉛直熱輸送過程に大きく依存する。本研究では数値モデルを用い、モデル内で再現されている鉛直熱輸送過程が海洋熱吸収効率や海洋の気候場形成に果たす役割を定量的に明らかにする。さらに、モデル相互比較プロジェクトなどに参加し、モデルの不確実性の低減や将来の気候変動の理解へ貢献する。
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研究実績の概要 |
海洋は気候システムの熱慣性において支配的な役割を果たしており、地球温暖化の際に余剰熱を吸収することで急激な気候変動を抑制するため、海洋熱吸収プロセスを理解することは、将来の気候予測に不可欠である。CMIP6における温暖化予測実験では、参加する多くの気候モデルにおいて、温暖化の進行に伴って深層水の形成が減少することが示唆されている。本年度は、昨年度に引き続き、CMIP6の国際共同研究の枠組みを利用して、海洋の熱吸収効率(OHE)と温暖化時の気温上昇の関係についてのモデル間の相互比較研究を進めた。本研究では、温暖化時の海洋熱吸収を理解するため、海洋内部への熱輸送に関して、低緯度と高緯度からの2つのルートを考慮した概念モデルを提案している。エネルギー収支の大部分を支配する低緯度域では熱の取り込みは気温上昇主導である。一方高緯度では有効放射強制力の14%が等密度線にそって取り込まれ、ほぼ受動トレーサーのように取り込まれる。この概念モデルはAOGCMのモデルによる次の予測の関係性をよく説明できる。海洋熱吸収効率とAMOCに強い相関があるが、海洋熱吸収とAMOCには相関がみられない。過渡的応答(TCR)はAMOCと逆相関がある。強制力の大きなシナリオの21世紀末の海洋熱吸収はTCRよりも実効気候感度と強い相関がある。これらの成果は国際学術誌に掲載された。これらの成果により研究期間全体を通して、温暖化時の深層への海洋の熱輸送の重要性を示した。さらに、本研究で得られた知見を発展させ、高解像度の海洋モデルを用いた、温暖化タイムスライス実験を行い、深層循環の変化が海盆スケールの熱収支や水位変化に影響を及ぼすことを示した。これらの成果は今後の高解像度の温暖化予測研究の発展に寄与することが期待される。
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