研究課題/領域番号 |
20K04090
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17030:地球人間圏科学関連
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
豊田 新 岡山理科大学, 古生物学・年代学研究センター, 教授 (40207650)
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研究分担者 |
横山 祐典 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (10359648)
高田 将志 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (60273827)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 電子スピン共鳴年代測定 / 堆積物 / 石英 / 熱安定性 / ESR年代測定 / 第四紀 / 常磁性格子欠陥 / 自然放射線 / ESR年代測定 / 電子スピン共鳴 / 年代測定 |
研究開始時の研究の概要 |
堆積物の年代を直接求める手法を開発することは、第四紀の環境変動や人類の進化を議論するために重要である。これまで、放射性炭素法、光刺激ルミネッセンス(OSL)法、宇宙線表面照射年代測定法がこのために用いられてきているが、適用できる年代範囲や状況が限られている。石英に見られる複数の信号について、生成、消滅の機構を詳細に検討することによって、電子スピン共鳴(ESR)年代測定の手法、並びに正しく年代が得られていることを示す判断基準を得て、堆積物のESR年代測定の手法を確立する。
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研究実績の概要 |
これまでの研究において、太陽光によってESR信号がブリーチ(消去)する性質について一定の成果を上げ、昨年には、熱安定性についての研究成果を報告した。ここでわかったように、年代測定においては、熱的に不安定な成分を消去して年代を求めることが必要であること、また熱的に安定な信号を用いて年代を求める必要があるため、そのESR信号の消滅の性質についてより詳細に研究を進めた。今回、一定の温度で加熱時間を変えて信号の減衰を調べる等温加熱実験を詳細に行ったところ、石英の常磁性格子欠陥の加熱による減衰が、1次反応と2次反応の混合による機構で予想される関数形で説明できることを示された。そして、この性質は、問題としている常磁性格子欠陥が、同数ではない他の欠陥との間で電子やホールをやり取りして消滅していくというモデルで説明できることがわかった。この議論においては、反応次数ごとに形式的に異なる2つの定数が式の上に現れるが、反応のモデルとの対応でこの反応機構を検討すると、熱安定性を決める実質的な定数1つのみによって説明できることが予想されることがわかった。したがって、次には、同一の試料を使用する限りは、加熱時間が1種類のみの段階加熱実験のみで、この反応の定数の温度依存性を求め、アレニウスプロットによって、この外挿によって室温における寿命(あるいは熱安定性)を定量的に議論することができることが予想される。今後この点を検討することが課題となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験データを解析したところ、詳細な加熱実験が必要となり、それに時間を取られたために不安定な信号を消去する、あるいは不安定な信号であることを判定するという手順についての検討に時間を要した。しかし、この点について、問題の本質が理解できたため、当初の予定に従って研究を進めることができると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
年代既知で、開発した年代測定手順を実際に適用してみる試料については、オーストラリアの試料を入手済みである。この試料を用いて実際に年代測定を行い、ルミネッセンス年代との比較を行って結果を議論する予定である。
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