研究課題/領域番号 |
20K04099
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石瀬 素子 東京大学, 地震研究所, 特任研究員 (60625739)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 地震波異方性 / 時間変化 / 低周波地震 / 火山噴火準備過程 / 時空間変化 / 微動活動 / ゆっくり地震 / 低周波地震のマイグレーション / 震源決定 / モニタリング / 火山 / 噴火準備過程 / 微動 |
研究開始時の研究の概要 |
短期的火山噴火予測の実現には,マグマ等の火山流体の位置や状態の推移を知ることが必要である.本研究では,申請者らが新たに開発した異方性モニタリング手法を活用し,観測体制が充実している富士山,次の噴火が迫る伊豆大島と三宅島について,地震波異方性の連続変化,すなわち,火山流体の振舞いによる応力場や構造の変化の推移を明らかにする.そして,多種多様な火山観測データの徹底的な分析により,異方性の変化と火山現象を紐づける.これにより地震波異方性モニタリングによる火山活動の現状認識への貢献を図るための礎を築く.そして,観測波形即時解析による異方性リアルタイムモニタリングの火山監視体制への実装を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究では,我々が開発した地震波異方性の連続測定法(Ishise and Nishida, 2015)を活用し,地震波異方性の時間変化を通してみられる火山流体の振舞いによる応力場や構造の変化の推移を明らかにすることをひとつの目的としている.また,多種多様な火山観測データの徹底的な分析を行い,明らかになった地震波異方性の変化と火山現象を紐づけることも計画している.これらを達成することで,地震波異方性モニタリングによる火山活動の現状認識への貢献を図るための礎を築き,最終的には,観測波形即時解析による地震波異方性リアルタイムモニタリングの火山監視体制への実装を目指している. この達成に向け,本研究では,①微動の震源決定方法の開発・実装,②既存の地震観測記録を用いた地震波異方性モニタリング,③地震波異方性と火山活動の関連性の検討,の実施を計画している.今年度は,②既存の地震観測記録を用いた地震波異方性モニタリングに関して,昨年度の取り組みで得たスロー地震発生領域での微動シグナルを活用して得られた地震波異方性を評価するために通常の地震イベントを用いた地震波異方性解析を行い,微動シグナルから得られた地震波異方性の特徴と比較することで,微動シグナルを用いた地震波異方性測定方法の妥当性を示した.また,昨年度は明らかにできなかった,当該地域における地震波異方性の形成メカニズムの検討を行い,マントルウェッジの蛇紋岩化が関係しているかもしれないという示唆を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
火山地域に適用するための準備として,豊後水道で発生する深部低周波微動のシグナルを用いた地震波異方性測定を進めてきた.その結果,2観測点ではあるが,これらの地点におけるスロー地震発生時の地震波異方性の時間変化を明らかにすることができた.加えて,通常の地震イベントを用いた地震波異方性の測定を実施した.そして,その結果と微動から得られる地震波異方性の特徴の比較から,微動シグナルを用いた地震波異方性測定で得られる地震波異方性の存在場所を凡そ特定することができた. 現在,以上の内容についての論文の執筆を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
当初予定では,2022年度には手法開発を行うことを考えていた.しかし,ひとまずは現行の方法で地震データの解析を進めることにした.2023年度は,基盤研究(C)(17K05625)で実施した地震観測(21観測点)で得た昭和新山の地震データの解析を進める.この観測で得た地震データには,既存の定常観測点では捉えられていないイベントも記録されている.これらの活動と地震波異方性の時間変化の関係についても検討を行う方針である. 加えて,解析結果次第ではあるが,前出の科研費での地震観測は1カ月程度の短いものであったため,より長期間のデータが必要であれば,昭和新山での新たな地震観測に向けた準備を進めることも考えている.
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