研究課題/領域番号 |
20K04143
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 (2021-2022) 東京大学 (2020) |
研究代表者 |
高橋 聡 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60615251)
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研究分担者 |
武藤 俊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (80849951)
朝比奈 健太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (40728276)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 古生代中生代 / 大量絶滅 / 古太平洋遠洋 / 海洋無酸素 / 海洋生物必須元素 / ペルム紀三畳紀境界 / パンサラッサ海 / 鉄元素 / 海洋微量元素 / ペルム紀 / 三畳紀 / 古生代 / 中生代 / 海水組成 / 一次生産 / 無酸素海洋 / 鉄化学種 / 微量元素 / 古生代-中生代境界 / 遠洋域 / 生物必須元素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、約2.5億年前に起きた大量絶滅事件を境に、海水から硫酸イオン、鉄、モリブデン、銅などの金属元素が減少し、一方でリンが増加したという仮説を検証する。この仮説の検証のために、日本に位置する当時の遠洋性炭酸塩岩と深海泥岩の地層を採取し、硫黄・金属元素・リンの分画定量分析、硫黄同位体比分析を行う。結果に基づいて、炭酸塩の持つ海水元素組成の間接記録と深海底における各元素の収支を復元する。それらの変動規模と持続期間を化石記録と比較し、当時の生物活動への影響を評価する。
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研究成果の概要 |
本研究は、約2.5億年前に起きた大量絶滅事件を境に海洋環境と海水の化学組成がどのように変化したかをテーマに実施された。この時代の記録を見出すために当時の遠洋性深海岩の地層と海山石灰岩層を取りそろえ、研磨断面の観察、無機・有機の手法を駆使した化学分析を行った。主な成果として、大量絶滅期の低緯度-中緯度の順に無酸素海洋が発達したこと、無酸素海洋発達後に広範囲な海域で微量元素組成が極端に減少していたことが解明されたことが挙げられる。この時期に反応鉄と有機リンの深海底における減少が示されたため、栄養元素の挙動が変化し海洋の無酸素化の促進と表層光合成生物の群集組成の変化にも寄与していた可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究が取り組んだ古太平洋の遠洋域の海洋溶存酸素環境史と海水組成比の変動データは、日本・ニュージーランドの地質からのみ得られる希少なものである。したがって、本研究の成果は当時のグローバルな環境変化を捉える上でこの分野の研究に学術的に大きな貢献をしている。 2.5億年前の火山活動を通して放出された炭素ガスは現代の産業活動により放出されているものの年間値の数千から万倍に相当すると見積もられている。本研究の社会的意義としては、現代の人類が直面している炭素ガスによる温暖化などが極端に進行した場合に海洋環境がどのように変化するか一例を示したことが意義深い。
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