研究課題
基盤研究(C)
「化石種はどのように定義すべきか」という命題に答えるべく,中生代放散虫のパンタネリウム属を例にとり,実用性を重視しつつも現生放散虫の種の認定と齟齬のない分類体系を提案することを目的とする.本研究の特徴は,X線マイクロCT技術を駆使して多数の個体の詳細形状データを取得することにある.種レベルの分類を試みる結果,1億年以上にわたって栄えたパンタネリウム属がどのような進化を遂げているのかが明らかとなる.
2023年3月に新潟大学で開催した国際深海掘削計画にかかわるワークショップは,イタリア・ミラノ大学のElisabetta ERBA博士と中国科学院南京地質古生物研究所のLi Xin博士の出席を得て成功裏に進めることができたが,その際に立てた2024年度の研究方針に従って,イタリアの南アルプス地域およびアペニン中央部地域の野外調査を11月に実施した.パンタネリウム属を使ったジュラ・白亜系境界の設定が可能かどうかの検証にあたる研究といえる.試料採取を実施した2つのセクション,すなわりTre de BusiセクションとBosso Valleyセクションは,ともにジュラ・白亜系境界の国際標準模式断面および地点(GSSP)として重要なセクションである.マリアナ海溝産の白亜紀最前期のパンタネリウム属放散虫59個体についての研究の継続として,5角形および6角形からなる殻孔枠の空間分布を展開図に示すことに加えて,殻全体の殻孔枠を一意的に記述する方法を検討している.1次元コードのような表現を取ることを想定しているが,この方法が確立すれば,いかなる年代のパンタネリウム属放散虫であっても,殻孔枠の数と空間分布を記述することが可能となる.パンタネリウム属放散虫の形状情報を客観的に比較するための表記法として期待される.研究成果を一般社会に還元する方法として,放散虫のような微化石をプラネタリウムを使用して空に浮かばせるというやりかたを模索してきた.本研究課題の期間において,富山市科学博物館で4年連続(2020-2023)でプラネタリウムを活用した教育普及活動を実施してきた.2023年10月には,形の科学会のシンポジウムを同館のプラネタリウムも使用して開催した.また,その成果を形の科学会の英文誌であるFORMA誌に論文として発表した.放散虫の系統進化とプラネタリウムとが繋がったところに妙味がある.
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すべて 国際共同研究 (19件) 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 7件、 査読あり 19件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (40件) (うち国際学会 21件、 招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
FORMA
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https://www.niigata-u.ac.jp/news/event/2023/364351/