研究課題
基盤研究(C)
「化石種はどのように定義すべきか」という命題に答えるべく,中生代放散虫のパンタネリウム属を例にとり,実用性を重視しつつも現生放散虫の種の認定と齟齬のない分類体系を提案することを目的とする.本研究の特徴は,X線マイクロCT技術を駆使して多数の個体の詳細形状データを取得することにある.種レベルの分類を試みる結果,1億年以上にわたって栄えたパンタネリウム属がどのような進化を遂げているのかが明らかとなる.
白亜紀最前期のパンタネリウム属放散虫59個体について殻孔数を数えるとともに,すべての個体について5角形および6角形の殻孔枠の空間分布を展開図に示した.その結果,26個と32個の殻孔数にピークをもち重なり合う2つの正規分布を示すことが判明した.このことは,殻孔数や多角形の殻孔枠の配列から種を区分することは困難であることを暗示している.系統進化を反映した種分化層準を生層序基準面として使用する場合は,パンタネリウム・ランセオラからパンタネリウム・ベリアシアヌムが派生する際に見られる殻孔数には関係しない形質発現(殻孔枠会合部の棘)が有効であり,ジュラ・白亜系境界のGSSPのマーカーとして利用しうる.
研究成果を一般社会に還元する方法として,放散虫のような微化石をプラネタリウムを使用して空に浮かばせるという方法を模索してきた.本研究課題の期間において,富山市科学博物館で4年連続(2020-2023)でプラネタリウムを活用した教育普及活動を実施した.2023年10月には,形の科学会のシンポジウムを同館で実施し,プラネタリウムを活用した.また,その成果を形の科学会の英文誌であるFORMA誌に発表した.放散虫の研究は19世紀後半に系統学の祖ともいわれるHaeckelによって大いに進められた.系統学もプラネタリウムもドイツのイエナが発祥の地である.2023年はプラネタリウムの誕生100周年にあたる.
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すべて 国際共同研究 (19件) 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 7件、 査読あり 19件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (40件) (うち国際学会 21件、 招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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https://www.niigata-u.ac.jp/news/event/2023/364351/