研究課題/領域番号 |
20K04154
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
矢部 淳 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (20634124)
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研究分担者 |
齊藤 毅 名城大学, 理工学部, 准教授 (50242813)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 日本列島温帯林 / 植生史 / ブナ優占林 / 中新ー鮮新世 / ブナ属優占林 / 後期中新世寒冷化 / 鮮新世温暖期 / 三徳型植物群 / 温帯落葉広葉樹林 / ブナ属 / 種分化 / 古気候 / 伯耆植物群 / 東アジア温帯林 / 後期中新世 / 前期鮮新世 / 環境解析 / 温帯林 / 日本列島 / 成立史 |
研究開始時の研究の概要 |
日本の温帯林を代表するブナ属優占林の成立過程を解明するため、現生の固有2種に近縁な要素が現れ始める、後期中新世から鮮新世(約1000万~250万年前)の化石群集を対象に、化石種の変化と環境との関わりを解析する。特に、本研究では果実・種子、葉、花粉という、化石種の複数部位に基づいた信頼度の高い分類学的研究とともに、現地調査に基づいた古生態の解析、化石葉の形態に着目した古気候の定量解析を行って、現生種の動態解析に用いられるニッチモデリングに適用する。これにより、後期中新世から鮮新世という環境の大きな変動期に、化石種がどのような動きをとり、優占林を形成するに至ったか、化石種の動態の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
東アジア温帯林の形成史を解明するため、中新ー鮮新世におけるブナ属優占林の成立史解明に取り組んだ。まず日本列島の3つの中新ー鮮新世化石群集を産する地層の層序と年代を明らかにし、化石群集の組成とブナ属の系統解明に取り組んだ結果、本州中部以西でF. stuxbergii優占林が、東北地方北部から北海道では別種のF. palaeojaponicaが並行して優占林を作ったことがわかった。両者の出現は中期中新世に遡り、ブナ属優占林の成立は気候寒冷化と強く関連することがわかった。一方、これら化石種は日本固有2種とは系統的に離れており、中新ー鮮新世ブナ属優占林は現在の温帯林とは直接比較できないことがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
東アジアにはブナ属が優占する温帯林が広がり、森林動態的にも重要な地位を占めることから、その成立過程の解明が生物多様性の保全や地球環境変化への応答を予見するうえで課題となっていた。本研究では、2種のブナ属固有種が優占林を形成する日本列島をモデルに、従来、温帯林成立期とされてきた中新ー鮮新世の3つ化石群集の年代・群集組成、古気候条件とブナ属の系統解明に取り組んだ。本研究により、中新ー鮮新世の森林が現在の温帯林と相同ではなく、大陸との種の交流により多くの絶滅要素を含む特異なものだったこと、成立背景に気候変化と古地理の特性があったことが示され、多様性をもたらした要因の一部を示すことができた。
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