研究課題/領域番号 |
20K04170
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
長島 伸夫 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主幹研究員 (30354252)
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研究分担者 |
吉中 奎貴 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主任研究員 (00825341)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 極低サイクル / 鉄系形状記憶合金 / フラクトグラフィ / 極低サイクル疲労 / 高ひずみ振幅 / 高ひずみ速度 / 巨大地震 / 制振ダンパー |
研究開始時の研究の概要 |
金属材料の低サイクル疲労は通常ひずみ速度0.5%/s程度で実施される。地震における長周期振動は数秒から10秒前後までの周期で、ひずみ振幅(Δεt/2)は数%から10%程度とされてきた。ところが、近年の実測では、震源地からの距離によりS波の周波数は変化し、0.4秒前後の極短周期や、大きな被害を出した熊本地震では1秒間隔の周期で振動したことが観測されている。Δεt/2=1%とすると、周期1秒はひずみ速度で4%/s、さらに10%の大ひずみを想定すると周期1秒はひずみ速度40%/sとなり、ひずみ速度は80倍になる。このため、ひずみ速度が通常より高い領域での、極低サイクル疲労特性を把握する必要がある。
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研究実績の概要 |
FMS合金について、径ひずみにおける全ひずみ振幅5%条件について、0.005、0.25、1.25%/sec の3条件でひずみ制御による極低サイクル疲労試験を実施した。その結果、破断寿命は、0.005%/secの試験では61回、0.25%/secの試験では41回、1.25%/secの試験では25回で破断し、試験速度が速いほど短寿命となった。また、疲労試験中の試験温度は、0.005%/secの試験では25℃一定、0.25%/secの試験では約30℃一定、1.25%/secの試験では試験中に温度が上昇し、10回で60℃を超え、最大70℃になり、試験速度が速いほど試験温度が上がった。 疲労破面観察によるフラクトグラフィ的検討の結果、0.005%/secの試験では起点部と亀裂進展部においてファセットと二次亀裂が観察され、最終破断部はディンプルに加え、ファセットが混じっていた。一方、試験速度の速い1.25%/secの試験では起点部及き裂進展部にはファセットはほとんど見られず、全体的に丸みを帯びた様相であった。検討の結果、0.005%/secの試験では破面は全面ほぼεマルテンサイトであり、本材料の設計指針である可逆変形が生じたため長寿命となったと考えられた。一方、1.25%/secの試験では破面はほぼ母材組織のγオーステナイトのままであり、一部双晶変形がみられたことから、可逆変形が生じていないため、短寿命となったと考えられた。
しかし、一般鋼のSUS316 の同条件での疲労寿命が6回程度であるのに比べ、きわめて疲労寿命が長いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の検討により、これまでの知見がほぼ証明された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は試験温度と極低サイクル試験について検討していく。 また、試験片起点部近傍の断面切断を実施し、断面組織について検討する。
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