研究課題/領域番号 |
20K04177
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分18010:材料力学および機械材料関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森下 和功 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (80282581)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 原子力材料 / 分子動力学 / はじき出しカスケード / 統計学的評価 / 核生成 / 非平衡欠陥 / 中性子照射 / 照射脆化 / マルチスケールモデリング / 析出物 / 照射相関 / ナノ / モンテカルロ法 / 分子動力学解析 / モンテカルロ計算 / 反応速度論解析 / 機械学習 / 照射損傷 / 原子炉材料 / 核融合炉材料 / カスケード損傷 / 欠陥生成 / 原子間ポテンシャル / 原子力圧力容器 / 脆化管理 / 保全 / ミクロ・マクロ / リスク評価 |
研究開始時の研究の概要 |
我国の社会インフラの多くは、高度経済成長期に集中的に整備され、今後急速に老朽化する。一斉に老朽化する設備の維持管理・更新を戦略的効率的に行うには、保全箇所や保全方式の決定および保全優先度の判断に、リスク概念を活用する必要がある。しかしながら、特に経年劣化する構造材料の保全に関しては、関連するリスクの選定、評価、管理の方法論が明確でなく、寿命判断において極端に保守的な選択がなされている。本研究では、原子炉圧力容器鋼の中性子照射脆化管理を例に、リスク概念に基づく保全最適化の方法論を開発する。材料マルチスケールモデリング技法と、「台風進路予測」の考え方を組み合わせ、実際的なツールの開発を試みる。
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研究成果の概要 |
軽水炉圧力容器は中性子照射の影響により脆化する。照射により材料内部には非平衡欠陥が生成しそれらがナノレベルの欠陥クラスターを形成するが、これが照射脆化の原因となる。こうしたナノ欠陥生成を機構論に基づき予測することができれば、高経年炉圧力容器の劣化の程度の予測・評価、それに基づく予防保全策の策定が可能になる。本研究では、(1)非平衡欠陥材料学に基づき非平衡欠陥生成率評価を行い、統計学的に整理すること、(2)マルチスケールモデリングにより、欠陥クラスター核生成現象を高精度に評価することに成功した。これらの知見は、近年注目されている確率論的リスク評価の枠組みで、脆化予測法を議論するのに有用である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、照射下で使われる材料内の非平衡欠陥生成および集合体核生成に関するそれぞれモデルについて、定量かつ統計学的な評価が可能になった。このような視点は、先行研究では十分に取り入れられてこなかったものであり、今後、これらの現象のモデルに取り込むことで、最終的な目標である照射脆化予測においても、確率論的もしくは統計学的に基づく評価が可能になる。こうした視点は、極値統計の議論が当然必要とされる材料脆性破壊の予測では必須であり、照射脆化予測の高度化、ひいては、軽水炉プラントの確率論的安全評価の高度化に欠かせない知見となる。
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