研究課題/領域番号 |
20K04288
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分19010:流体工学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
申 炳録 宮崎大学, 工学部, 教授 (30235767)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 流体工学 / 数値流体力学 / 気液混相流 / 全マッハ数流れ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、実在の流体からなる全マッハ数気液混相流の解析のための新たな数値解法を開発する。多成分実在流体に適用できる状態方程式の定式化を示すとともに、全マッハ数流れの非定常高効率計算のための数値流束関数を提案する。この解法で様々な実在流体の混相流の問題や極低温キャビテーション流れを解析し、本解法の有効性および温度効果がキャビテーションに及ぼす影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では,前処理法を基盤に,多成分実在流体の混相流解析において包括的に対応できる状態方程式の構成と圧縮性-非圧縮性流れの非定常高効率計算のための数値流束関数を提案し,広い範囲のマッハ数・ボイド率変化を伴う気液混相流のための新しい数値解法の創出を目的とする. 今年度は,まず相変化を伴なう熱力学的特性の著しい混相流解析に対応できる数値解法を構築するため,前年度まで提案してきた熱力学的に導いた一般状態方程式に対して,計算条件の厳しい流れ場への適用性について評価を行った.流入・流出境界面での圧力比が非常に高く(圧力比100以上),気体から液体までの広い範囲のボイド率変化を伴う幾つかの極限環境下の気液混相流問題の計算を通じて提案式の有効性を確認した.また,実在流体の混相流解析において,状態量の変化,相変化に応じた物性値のためのデータベースの引用の際かかる計算時間を減らすため,同一時間レベル内では状態量を一定に保つヤコビ型反復法の概念を導入するなど計算負荷軽減のための工夫を行った. 次に,状態量のジャンプが激しい広範囲の音速・マッハ数分布を同伴する気液混相流の計算のため,この研究で提案した非定常前処理数値スキームに対する安定性確保のための研究を行った.TVD安定性理論に基づく高次精度上流差分法を検討し,前処理行列の導入により前処理されたヤコビ行列で保存形の数値流束関数を構成することで非線形項計算の安定化を図った.原始関数を未知変数とする双曲型方程式の時間積分には,保存型非線形項を原始関数型に再構築し計算することで,この解法は,数学的な観点からも時間に対して整合性を損なわない安定な数値解法となる.これらの研究成果の一部は2023年度に開催されたいくつかの国内外の学会で発表され,国際学術誌にも投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広い範囲のマッハ数・ボイド率変化を伴う実在流体からなる混相流の計算のための安定性と時間の整合性を保つ前処理型非定常数値解法の開発など,交付申請書の研究計画に記した項目について,順調に実施し,その間新型コロナ禍で遅れていた当初の目標をほぼ達成できた.
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今後の研究の推進方策 |
いままでこの研究で提案してきた数値解法において,数学的・物理学的に検証された本解法と圧縮性-非圧縮性混在の気液混相流の非定常問題への適用性について調べ,実在流体の非定常気液混相流のための数値解法を完成する.また,この解法で液体衝撃/気泡の干渉問題等の標準問題や様々な気液混相流を解析し,気液混相流の非定常流れ現象の解明や本解法の有効性の検討など,交付申請書の研究実施計画に記した項目について研究を推進する.
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