研究課題/領域番号 |
20K04357
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
山川 淳也 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 教授 (10546138)
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研究分担者 |
吉田 秀久 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 教授 (00332635)
江藤 亮輔 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 講師 (20761480)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 路面特性 / タイヤ力学特性 / ガウス過程回帰 / データ処理 / 路外走行 / 車両走行 / 地面力学特性 / 地面とタイヤの相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
計装車両で様々な地面を走行して車輪に掛かる力ならびに車両と地面の状態を計測して地面の力学的特性を得るための方法を検討する。ある車両が走行するのに十分な駆動力を発揮できるか、地面が車両重量を支持するのに十分な強度か、操縦性がどこまで保障されるかなど、車両走行性や作業性の判断に資する情報を得ることを考える。計装車両の現地走行で取得するデータは比較的大きいため、有意な情報を得るための効率的なデータ処理の方法を検討して開発する。
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研究実績の概要 |
これまでに、計装車両を用いたアスファルト路面上の走行により取得したタイヤに作用する力などのデータをガウス過程回帰で処理することで、タイヤ横すべり角、キャンバー角、接地荷重変化の3変数と横力のタイヤモデルを構築することを提案した。また、タイヤと軟らかい地面の相互作用の基礎データ取得のため、模型タイヤによる砂面走行実験を行い、タイヤ牽引力と砂への沈下に関するデータを収集することで、タイヤ表面のトレッド形状や配置の違いによる影響を明らかにした。火山災害における降灰の車両への影響を調べるために、火山灰を敷いたアスファルト路面で計装車両を走行させてデータを収集したが、これら火山灰での走行データを処理して、降灰厚さや粒径と転がり抵抗との関係、タイヤスリップ率と制駆動力の関係を明らかにした。タイヤ横力の特性については、アスファルト路面でのモデル化と同様にガウス過程回帰を用いた。右旋回と左旋回を行った両輪データを合わせて使用したが、生データをランダムに4つに分割して、一つを訓練データとし、他をテストデータとして用いた。アスファルト路面における解析では、近傍データを平均化した代表値によりモデル化を行ったが、火山灰上の走行におけるデータでは平均化を行わない生データを用いた。ハイパーパラメタの探索では、計算当初に一次探索である勾配法を用いて大まかな値を推定して二次探索であるニュートン・ラプソン法の初期値とし、計算の効率化を図った。得られた結果から、火山灰上での車両走行におけるタイヤ横すべり角、キャンバー角、接地荷重変化の3変数と横力の関係を見ることができた。アスファルト路面と比較して、火山灰の影響によってタイヤ横力の最大値は小さくなるものの、横すべり角0度付近での横力の増加割合(コーナリングパワ)は大きいことが示された。これらの研究成果は国際会議で認められ、特別号への掲載を依頼されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに、ガウス過程回帰を用いて計装車両で取得したデータの処理により、多変数(横すべり角、キャンバー角、接地荷重変化)の影響を受ける物理量(タイヤ横力)を予測できるモデルを構築する方法が提案できた。カーネル関数に用いるハイパーパラメタ(本研究のモデルでは7つ)は尤度関数を最大にする組み合わせで求められる。生データからは判りにくい変数間の関連が明確となり、予測したい物理量は平均値と分散の形で得られることから、それぞれの変数の影響を確からしさを含めて推定できた。今回、アスファルト路面だけでなく、降下火山灰に覆われた路面におけるデータでも有効であることを示した。しかしながら、最適なハイパーパラメタを求めるためのプログラムの改良や計算に予想以上に時間を要することとなった。解析自体は進めることができたものの、新たな実験によるデータの取得ができなかった。新たな校務に就き、充当できる時間が制約されたことも原因として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
ガウス過程回帰においては、効率化を目指してアルゴリズムの改良を行う。勾配法とニュートン・ラプソン法を組み合わせて自動的に算出できる方法を試みる。また、模型タイヤによる砂地走行実験によって、タイヤのトレッド形状や配置に関するタイヤ牽引力と砂への沈下等のデータを収集しているので、これらのデータを用いて、提案した解析手法の有効性を検証する。また、実験により新しくデータを収集して、その適応範囲を明らかにする。文献等の調査を通して、既存の方法で得られた地面の力学的特性との比較により、本研究で得られる相関モデルの妥当性と有効性を検証する。
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