研究課題/領域番号 |
20K04363
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
池田 隆 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 名誉教授 (50115523)
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研究分担者 |
原田 祐志 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (00456691)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 機械力学およびメカトロニクス関連 / 非線形振動 / 局在化現象 / 複数の非線形ユニットを内蔵する構造物 / 複数の非線形動吸振器 / モード解析 / 機械力学 |
研究開始時の研究の概要 |
非線形性が内在する複数のユニットで構成される機械構造物が正弦的に励振されると,各ユニットが異なる振幅で振動するという局在化現象が発生することが知られている.しかし,なぜ局在化現象が発生するかという本質的な疑問は未解明である.本研究では,第1に非線形振動子列を対象とし,第2に複数の非線形ユニットを内蔵する機械構造物を対象とし,モード解析を適用して局在化現象の発生メカニズムを解明することを目的とする.さらに,機械部品の疲労破壊といった要因となり得る局在化現象の発生防止策を提案する.
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研究実績の概要 |
本年度は,N個の同一寸法の振子が弱い同じばね定数の回転ばねで連結された系(系A2と呼ぶ)を対象とし,系全体が水平方向または鉛直方向の正弦励振を受ける場合に発生する局在化現象のメカニズムを調べるため,モード解析を用いて物理座標とモード座標に対する周波数応答曲線を求め,両者を比較した.その結果,水平励振または鉛直励振を受ける場合の研究成果を,それぞれ国際的学術雑誌JCND,国際会議IUTAM2023にて,以下の通り,発表した. 1.水平方向の正弦励振を受ける系A2では,励振力に対応するモードベクトルが系の1次モードに平行で他のモードとは直交するため,モード座標表示の運動方程式はオートパラメトリック系を形成する.N=2, 3の場合のモード座標と物理座標に対する周波数応答曲線を比較することにより,局在化現象の発生メカニズムを明らかにした.すなわち,複数のモードが同時に現れる場合に,モードの重ね合わせの結果として物理座標上で局在化現象が観測されることを示した.N≧4の振子列のモード運動方程式は,N=2, 3の場合と類似した構造をもつことから,前者で起こる局在化現象のメカニズムは後者と類似している.その例として,N=10の場合に対する数値シミュレーションにおいて,複数のモードが同時に発生する場合に局在化現象が観察されることを示した. 2.鉛直方向の正弦励振を受ける系A2では,複数のモードに係数励振振動が同時に発生すると,その結果,物理座標上では各振子の振幅が異なる局在化現象が生じることを示した. 次に,1自由度の構造物に2個の液体ダンパーが取り付けられた系(系Cと呼ぶ)にモード解析を適用し,以下の研究成果を国内学会にて発表した. 3.1次,2次,および3次モードが同時に発生すると,それらを合成することによって,物理座標で表示される各容器内の液面振動に局在化現象が発生することを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の非線形ユニットを含む振動系に発生する局在化現象を解明するため,複数の非線形振動子が弱いばねで連結された系(系A1と呼ぶ),複数の振子が弱い回転ばねで連結された系(系A2と呼ぶ),構造物に複数の非線形動吸振器が取り付けられた系(系B1と呼ぶ),構造物に複数の振子型動吸振器が取り付けられた系(系B2と呼ぶ),および水平励振を受ける構造物に複数の液体ダンパーが取り付けられた系(系Cと呼ぶ)を対象とし,モード解析を用いて,複数のモードが同時に励起されることが局在化現象の発生原因であることを明らかにした.系A1が水平励振を受ける場合については,2022年にその研究成果を国際的な学術雑誌に発表した.系A2が水平励振を受ける場合については,2023年に国際的な学術雑誌に発表した.系B1については,その研究成果を国際的な学術雑誌に投稿中である.系B2については,2024年の7月に開催される国際会議ENOC2024にて研究成果を口頭発表する予定である.さらに,系Cについては, 2024年にその研究成果を国内会議にて口頭発表した. 以上の事由のため,現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」で述べた系のうち,鉛直方向の正弦励振を受ける系A2を対象として,既に国際会議IUTAM2023で発表した研究成果に新たな研究成果を追加して,国際的な学術雑誌に投稿する予定である. また,「現在までの進捗状況」で述べた系Cにおける解析上の問題点はある程度解決することができたが,モード座標から物理座標に変換して得られた周波数応答曲線の計算精度が十分ではなく,理論解析における改善点を検討する予定である.
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