研究課題/領域番号 |
20K04373
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20010:機械力学およびメカトロニクス関連
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
小野田 淳次郎 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 名誉教授 (20013740)
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研究分担者 |
峯杉 賢治 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (90239327)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | vibration energy harvest / piezoelectric / low-amplitude vibration / serge voltage / coupling factor / 振動エネルギーハーベスト / エネルギーハーベスト / 圧電素子 / 振動 |
研究開始時の研究の概要 |
振動する構造物に取り付けた圧電素子を用いて、振動エネルギを効率的に電気的エネルギとして蓄える方法についての研究である。この種の代表的手法として知られるSSHIは、圧電素子にインダクタとスイッチから成る回路を接続し、このスイッチを振動と同期して駆動し、電圧反転に伴う昇圧効果を利用する。本研究では、これに加えてサージ電圧をも利用することにより、遥に高効率なエネルギーハーベストを実現する。この手法はSSHIの回路接続を僅かに変更し、スイッチ駆動のパターンをサージ電圧が発生するよう変更する。その具体的な方法は多様であるが、それらの性能や利点、欠点を把握し、どのような場合にどの手法が適するかも見極める。
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研究実績の概要 |
本研究は、従来の代表的振動エネルギハーベスト手法であるSSHIの電圧反転による電圧増幅機能と、サージ電圧を併用することにより、より優れた振動エネルギハーベスト手法を開発しようとするものである。ハーベスト手法の特性は主としてスイッチ駆動パターと回路トポロジーに支配される。我々は、従来の2種のスイッチ駆動パターンに対し、新たな第3のスイッチ駆動パターンを加えるとともに、従来の回路トポロジーに対して新たな第2の回路トポロジーを加え、それらの組み合わせである6種の手法を定義した。そのうちの4手法が新しい手法である。近似的解析解、数値シミュレーション、実験により、それらの手法の性能特性を吟味した結果、特に2種の新手法は、振動レベルが小さい場合にもエネルギ蓄積用キャパシタを高電圧にまで充電できること、つまり大きなエネルギを蓄えられ ることが判明し、学術誌に査読付き論文として掲載した。 しかし、上記は所謂電気的機械的結合が弱い場合の検討にとどまっている。更に効率的にエネルギーを蓄えるためには、圧電係数の大きな圧電材や、振動子の高い共振倍率の利用を志向することとなるが、そのような電気的機械的結合が強い状態では、エネルギハーベストの動作が振動子の振動を減衰させることとなり易いので、各手法の特性が弱結合の場合と大きく異なり得ることが知られている。そこで、研究計画を拡張して、電気機械結合が強い場合の共振時にも、上記の各新手法が高い性能を発揮できるかどうかを検討することとした。上記新手法のうちの代表的な2手法の性能を、近似解析解、数値シミュレーション、および実験により求め、主な既存手法の性能と比較した。その結果、本手法は、強結合状態で、振動レベルが小さい場合にも大きなエネルギを蓄えられることが示された。この2つ目の成果は、昨年、学術誌論文として投稿済みであり、現在査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画の骨格をなす部分は既に実施し、学術誌への論文掲載も終えた。 その後、上記の通り、当初計画をさらに拡大発展させ、共振、電気的機械的強結合状況下での新手法の性能の吟味を行った。近似解析解、数値シミュレーション、実験により研究を進め、昨年学術誌に論文として投稿し、現在査読中である。 研究期間は延長したが、当初計画を拡大発展させて追加の成果を上げることができたので、実質的にはおおむね順調だったと思っている。
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今後の研究の推進方策 |
電圧反転とサージ電圧を併用した本エネルギハーベスト手法の特性の解明は、未だ緒に就いたばかりである。本手法がもたらす恩恵を、どのような状況下で、どれほど享受できるかを見極めるためには、更に広範囲な評価が必要である。
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