研究課題/領域番号 |
20K04475
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
出口 博之 同志社大学, 理工学部, 教授 (80329953)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 多周波数共用 / リフレクトアレー / トランスミットアレー / 最適化 / 直交偏波共用 / ホーンアンテナ / 反射鏡アンテナ / リフレクトアレーアンテナ / トランスミットアレーアンテナ / 周波数選択膜 / 周期境界条件 / 周波数特性 / 放射特性 / 伝搬特性 / 散乱波 / アンテナ |
研究開始時の研究の概要 |
給電系においては大きく離れた複数の周波数帯の共用化,放射系においてはマルチビームなどのビーム共用化のための検討を行うとともに,多周波数共用ならびに指向性制御のための電磁的表面・スクリーンの開発を行っていく.そして,アンテナの多モード制御による多周波数共用技術の開発,リフ レクトアレーやトランスミットアレーを構成する素子の開発とアンテナへの応用,さらに電波伝搬の高度な制御のための電磁クローキングを開発し,衛星搭載機器や地上電波用設備の多機能化を図っていくとともに,電波応用システムの性能向上を目指していく.
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研究実績の概要 |
反射鏡アンテナの1次ホーンの多周波数共用化の検討として、多段同軸グルーブホーンを取り上げ、放射パターンの交差偏波成分の低減に加えて、主偏波成分の周波数帯毎の制御を試みている。多段同軸グルーブにリングを装荷した構造のホーンを最適化した結果、パラボラアンテナの開口能率が全ての周波数帯で65%以上が達成され、交差偏波成分も低く抑えた良好な放射特性が得られ、提案する4帯域共用同軸グルーブ1次ホーンの有効性を検証している。 また、任意形状素子を用いた単層リフレクトアレーの多周波数帯共用化の検討として、周波数帯に応じてストリップ素子を単位セル内に配置し、かつ、直交する偏波を制御する新たな素子を提案している。このとき、低域側では、直交する偏波を独立に制御することによって直交偏波マルチビームを可能とし、高域側では、直交偏波共用のシングルビームを実現している。設計したアンテナの放射特性の評価によって提案する方法の妥当性を検証している。 さらに、レンズの多周波数帯共用化の検討として、スタブ装荷リング素子とアスタリスク素子によって単位セルを構成し、直交偏波で共用できるトランスミットアレーを提案している。スタブ装荷リング素子のリングの線路幅、スタブ形状を最適化して、2周波数帯の両方でレンズ設計が行えるアレー素子を開発し、 8/16 GHz帯直交偏波共用トランスミットアレーを設計、評価した結果、良好な放射特性が得られることを検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反射鏡アンテナの1次ホーンについては,設計周波数として12/14/20/30GHz帯を考え、低域側の12/14 GHzでは通常のデュアルモードホーンのように動作させ、高域側の20/30 GHz帯では多段の同軸グルーブ全体の励振振幅・位相を制御して主ビームを成形でき,周波数共用化の一つの方法を開発することができた。 また,リフレクトアレー素子ならびにリフレクトアレーアンテナについては、設計周波数帯を15/30 GHzとするとき、従来の周波数共用リフレクトアレー素子では、最適化などで任意形状素子が設計されているが、隣接する素子の間で生じる相互結合によって著しく特性劣化することが問題であったが,低域側の素子は直交する偏波に対応させるため90度回転させた別々のストリップ素子を用い、高域側の周波数帯への影響が生じないように高調波特性を考慮して素子形状を設計することによって課題の解決を図っている。 さらに、トランスミットアレー素子ならびにトランスミットアレーアンテナについては、1次放射器からの入射波をアレーアンテナで受信し、電磁結合した他方の面のアレーアンテナで放射させ、アレー素子の位相の周波数特性の変化に着目して透過波の開口面の位相を所定の分布に設計することが2帯域共できるようになり、周波数共用化がこの種のアンテナについても可能であることを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
反射鏡アンテナの1次ホーンについては,焦点から位相中心がずれると反射鏡の開口面において球面収差が生じ、利得低下を招くため、これを抑えることを検討し,高性能化を図っていく.この種の一次放射器は,リフレクトアレーアンテナやトランスミットアレーアンテナにおいても不可欠であり,各々,周波数共用化を図っていくための1次ホーンの検討にも着手する. また、リフレクトアレー素子ならびにリフレクトアレーアンテナについては,高域側の素子についても、低域側の素子のように2つの偏波で別々の素子によって構成し、両周波数帯ともに偏波独立制御を図っていく.そのため,まず高域側の素子はクロスダイポールを基にした形状を考え、直交偏波で容易に動作させることを検討し,単一周波数帯のアンテナと同等の性能を多周波数共用した場合も実現できるように設計していく.特に,リフレクトアレー素子については,周波数共用化をさらに進めるために,低域,高域だけでなく,さらに別の周波数帯域を設けるための検討も行っていく. さらに,トランスミットアレー素子ならびにトランスミットアレーアンテナについては,リフレクトアレーとは異なり,反射波の影響を抑えることが重要でかつ困難な課題であり,これについてはフィルタ合成理論,最適化設計などによって,トランスミットアレー素子の周波数応答の高性能化,ならびにトランスミットアレーアンテナの高能率化を検討していく.
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