研究課題/領域番号 |
20K04506
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
小池 一歩 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40351457)
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研究分担者 |
小山 政俊 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (30758636)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | バイオセンサー / クレアチニン / 絹フィブロイン / クレアチニンデイミナーゼ / 酵素固定化 / 拡張ゲートFET / 拡張ゲートFET / クレアチニンセンサー / 尿素センサー / バイオFET / 尿素 |
研究開始時の研究の概要 |
透析治療や腎移植が必要となる慢性腎臓病は心筋梗塞や脳卒中の発症リスクを高めるが、進行するまで症状が無いためサイレントキラーと呼ばれている。透析移行や貧血の指標として知られているクレアチニンと尿素を長時間連続モニタリングできれば、腎機能低下の早期発見につながる。 本研究ではウェアラブル化や健康指標マーカの連続モニタリングに有利な拡張ゲート電界効果トランジスター型バイオセンサーを開発する。酵素の固定化には、シランカップリング剤と絹フィブロインを用いる。被検液中のクレアチニンと尿素を長時間連続モニタリングするためのセンサーを試作し、腎機能低下の早期発見に役立つヘルスケアデバイスを提案する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、絹フィブロインを用いた酵素(クレアチニンデイミナーゼ)の固定化条件の最適化を行い、作製した酵素膜の耐久性を評価した。さらに、同一チップにMOSFETが複数個実装されている素子を用いて差動型バイオセンサー回路を設計・試作した。 絹フィブロインに対する酵素仕込比率15wt%の酵素膜に対して活性持続性を調べた。酵素膜を乾燥状態で4℃に保たれた冷蔵庫内に保管すれば、1ヶ月経過後も酵素活性が初期の90%以上を保つことが分かった。酵素膜の加熱耐性を調べたところ、70℃・20分間の加熱で80%程度、80℃・20分の加熱で70%程度、それぞれ酵素活性が保たれた。以上のことから、本研究で作製した酵素膜は70℃で加熱殺菌が可能で、かつ、冷蔵保存であれば長期間活性が保たれることが明らかになった。 次に、同一チップにnチャネルMOSFETが2個実装されているテキサス・インスツルメンツ社製CD4007UBEを用いて、拡張ゲート電界効果トランジスター(EGFET)型センサー回路を試作した。2つのnチャネルMOSFETに100μAの定電流を流し、両者のドレイン電圧の差分を出力信号とすることで、周囲温度や接合温度の変化によって生じる温度ドリフトの影響を抑制した。pH8.0のリン酸緩衝液に酵素を固定化した拡張ゲート電極とAg/AgCl参照電極を浸し、クレアチニンに対する電圧応答を調べた。その結果、クレアチニン濃度の増減に伴って電圧が可逆的に応答することが確かめられた。試作したセンサー回路の検出可能な濃度範囲は血清クレアチニンの基準値をほぼカバーする0.006~0.5mg/mLであることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
絹フィブロインを用いた酵素の固定化条件を見直した。酵素膜の耐久性を評価し、さらに差動型のセンサー回路を設計・試作した。試作したセンサー回路が血清クレアチニンの基準値をカバーする濃度範囲で感度が得られたことから、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、絹フィブロインを用いたクレアチニンデイミナーゼの固定化プロセス(酵素膜として最適な膜厚や酵素仕込み比率を最適化)を確立し、差動型の拡張ゲート電界効果トランジスター(EGFET)を用いたセンサー回路を用いて、腎機能指標であるクレアチニンと尿素を長時間連続モニタリングできるか検証する。また、血液や間質液に含まれる妨害物質(アスコルビン酸やグルコースなど)の影響を調べ、妨害物質を含む被検液に対してクレアチニンや尿素を選択的に検出できるか検証する。最終的に、センサーの信号をESP32などの無線通信モジュールを搭載したマイコンを用いて遠隔で受信するシステムの構築を検討し、ウェアラブルセンサーの実現可能性を示したい。
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