研究課題/領域番号 |
20K04573
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 公益財団法人科学技術交流財団(あいちシンクロトロン光センター、知の拠点重点研究プロジェクト統括部) |
研究代表者 |
花田 賢志 公益財団法人科学技術交流財団(あいちシンクロトロン光センター、知の拠点重点研究プロジェクト統括部), あいちシンクロトロン光センター, 技術研究員 (30637319)
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研究分担者 |
有元 圭介 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30345699)
田渕 雅夫 名古屋大学, シンクロトロン光研究センター, 教授 (90222124)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ダイヤモンド / 転位 / 金属援用終端法 / 金属不純物ドープ / タングステン |
研究開始時の研究の概要 |
ダイヤモンドは物質中最高の熱伝導率,高いキャリア移動度など優れたデバイス特性を有し,エレクトロニクス応用が期待されている.大型ウェハ開発が進んでいるが,大型化に伴い,デバイス特性の劣化を引き起こす結晶欠陥の密度は増加する.産総研の大曲らは,結晶成長中の金属不純物添加により,貫通転位の伝搬を抑制する金属援用終端(MAT)法を提案した.MAT法は面積制約がなく,数um厚の結晶成長で転位伝搬を抑制できる.MAT法を用いて作製したショットキーバリアダイオードは,リーク電流の抑制と耐圧向上が確認された.一方,金属不純物と転位の相互作用は未解明であり,そのメカニズム解明は学術的・工学的に重要である.
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研究実績の概要 |
本研究では、金属援用終端法によるダイヤモンド単結晶の低転位密度化のメカニズム構築を目標に、ダイヤモンド中に添加されたタングステン金属と転位との相互作用を解明することを目的としている。タングステン金属原子の近傍局所微細構造・ドーパントサイトの評価、転位種別・分布状態の解析、さらに、歪み状態・分布を評価する。これらの解析結果をもとに、タングステン金属による転位形態の変態機構をモデル化し、タングステン金属と転位の相互作用について学術的に解明する。 高温高圧合成法により作製されたダイヤモンド単結晶基板上に、高温フィラメントを用いた化学気相成長法を用いて、タングステン金属原子をin-situドーピングしつつダイヤモンド単結晶膜を成長させた。作製したダイヤモンド単結晶膜試料の蛍光X線測定により、タングステンドープが確認された。ダイヤモンド単結晶中のタングステンの蛍光X線の広域X線吸収微細構造解析により、タングステン原子からの第1・第2・第3隣接原子間距離を見積もった。得られた隣接原子間距離とスペクトル解析をもとにダイヤモンド結晶構造中のタングステン原子の配置と局所微細構造の特定を進めている。タングステン原子の配置と局所微細構造は、転位との相関を明らかにする上で重要な情報となる。顕微ラマンマッピング・逆格子空間マッピング、ロッキングカーブ、トポグラフィ測定による、ダイヤモンドの転位・歪み解析を進めている。タングステン原子と転位との相互作用と歪み状態は深く関連していると考えられるため、転位・歪み状態が明らかになれば不純物原子と転位との相関の解明に近づく。X線回折光取得による転位・歪み分布測定をダイヤモンド結晶表面近傍で行ったが、結晶エッジ付近のX線散乱光強度が強くX線回折光取得に支障が生じ充分な結果が得られなかった。測定システムを改良し歪み・転位測定を行い解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
X線回折光取得による歪み分布測定および転位観察測定を行ったが、X線散乱光強度が強くX線回折光取得に支障が生じ充分な結果が得られなかった。測定システムを改良して歪みおよび転位観察測定を行い歪みおよび転位の解析を進める。
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今後の研究の推進方策 |
ダイヤモンド結晶構造中のタングステン金属原子の微細構造・転位・歪みを解析し、解析結果をもとにダイヤモンド結晶のタングステン金属と転位との相互作用、転位構造の変態機構、および低転位密度化のメカニズムの解明にアプローチする。
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