研究課題/領域番号 |
20K04608
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
文仙 正俊 福岡大学, 工学部, 教授 (50412573)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ホログラフィックメモリ / 強度輸送方程式法 / 空間光変調器 / 空間位相変調器 |
研究開始時の研究の概要 |
ホログラフィックメモリにおいて信号光に対する空間的な強度変調と位相変調を併用する空間直交振幅変調が、その大容量化を目的とし盛んに研究され始めている。従来はこのような光波の検出には干渉計測法が用いられてきたが、光学系の大型化・複雑化や振動耐性低下等の原因となり得る。そこで、本研究課題では光波の干渉に拠らない光の複素振幅分布計測法である強度輸送方程式法に着目し、これによる空間直交振幅変調信号光検出の実現及び高性能化・高付加価値化に不可欠な諸技術を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究課題においてこれまでに行われてきた複素振幅変調信号光の強度輸送方程式法による検出に関する検討は,シミュレーションにおいては振幅と位相の両方が変調された信号光を想定し様々な検証が進めてられてきたが,実験においては位相のみ変調された信号光を用いた検討に留まっていた.R04年度は信号光の振幅と位相の両方が変調された信号光を用いた実験的な検証を進めるために,単一位相空間光変調器(SLM)による複素振幅変調信号光の生成とそのTIE法による検出についての検討を行った.単一位相SLMによる光波の複素振幅変調技術はその実用上の重要性から様々な方法が提案されている.主に4種類の複素振幅変調法について,TIE法による検出に適した信号光を生成可能であることをシミュレーションおよび光学実験により明らかにした. 機械学習による複素振幅変調信号光中の強度データページと位相データページの分類復号にも着手した.TIE法により検出される位相分布には典型的な雲状のノイズが重畳しがちであることが知られている.本研究課題の重要な検討項目であるシングルショット撮像によるTIE法では,このノイズが比較的大きくなる傾向があり,実験的に高精度なデータページの復号を実現できていなかった.そこで畳み込みニューラルネットワークを利用した分類器を用いると,たとえ大きな位相ノイズが存在する場合でも十分に高精度なデータページの復号が可能であることをシミュレーションにより示した.実験にも着手しはじめこの結果の実験的な検証を進めている. 部分コヒーレント光によるホログラム再生と再生信号光のTIE法による検出に関する検討も進めている.現状,ホログラム記録はせず,空間位相変調器で位相変調された部分コヒーレント光中の位相データページを検出する実験には成功している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題のより精緻な実験的検証を行うために,単一位相SLMによる複素振幅変調信号光の生成とそのTIE法による検出に関する検証を行い,有用性が明らかになったことから,位相と振幅の両方が変調された信号光に対し実験的な検証が行えるようになったことは重要な進歩である.また,TIE法による複素振幅変調信号光の検出において主要な解決課題の一つと考えられていた雲状ノイズについて,この存在下においてもニューラルネットワークを用いた復号が十分高精度に機能することが明らかになったことも大きな進展と言える.これによりシングルショット撮像によるTIE法の実現の可能性も高まり,最終年度につながる意義と言える.部分コヒーレント光を用いた信号再生とそのTIE法による検出についても,基礎的な検討は概ね完了しており,順調である.
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今後の研究の推進方策 |
TIE法により検出された複素振幅変調信号光中の強度および位相データページの畳み込みニューラルネットワークを用いた分類器による復号について,実験的な検討を進める予定である.シミュレーションによる分類器の検証は完了しており,速やかに実験を進めることが可能である.またコヒーレント光により記録されたホログラムを部分コヒーレント光で再生し,これをTIE法を用いて検出する実験も進める.これまでに得られた様々な成果を,学会発表および論文投稿により公表していく予定である.
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