研究課題/領域番号 |
20K04633
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
成島 和男 宇部工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (40303531)
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研究分担者 |
岡本 昌幸 宇部工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (70314820)
服部 勝己 宇部工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (90249847)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 有機半導体 / 太陽電池 / 量子化学計算 / 電子雲 / 電荷分布 / エネルギーダイヤグラム / 導電性高分子 / 正孔輸送層 / 一次元ナノファイバ / 電電パス |
研究開始時の研究の概要 |
現在、SDGsにもとりあげられているエネルギー問題の解決には、太陽光の利用が最も良い。フレキシブル性に優れ、どのような形状のものにも装着可能な有機半導体太陽電池が現在、注目されていが、実用化のためには、光電変換効率を上げることが必要である。本申請の目的は、導電性高分子からなる一次元ナノファイバを正孔輸送層内に直線的に配置した有機半導体太陽電池を創成することにより、光活性層から透明電極への正孔輸送を高効率化し、光電変換効率を17%に増加させることである。このナノファイバの一次元構造を用いて正孔輸送層中の導電パスを作る発想は世界初である。本申請で開発する素子は、災害時の電源などにも用いる事が出来る。
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研究実績の概要 |
我々は、有機半導体を用いた太陽電池の理論的、実験的研究を行っている。これまで、理論的研究では、量子化学計算ソフト Gaussian 09, 16を用いて、有機半導体分子の電子状態の計算を行ってきた。その結果、フタロシアニンとフラーレンC60からなる系において、基底状態においては、pn、2分子間では相互作用がみられ、電子雲や電荷分布が変化していることが分かった。また、励起状態では、電子が励起されていることが計算機実験においても確認でき、これらの結果から伝導電子と正孔が発生していることが明らかになった。また、導電性高分子P3HTとC60間においても電子が励起している様子がみられた。導電性高分子PEDOT:PSSとC60からなる系についても電荷分布の変化がみられ、伝導電子の発生が示唆される。さらにエネルギーダイヤグラムも作成し、有機太陽電池の発電機構も考察してきた。 これらの知見をもとに、一貫蒸着法を考案し、フタロシアニン―フラーレン系の太陽電池を作製し、最高で光電変換効率3%の太陽電池を得た。また、PEDOT:PSS-C60系の太陽電池においても光照射時に開放電圧と短絡電流の発生が観測された。 本申請は、有機半導体太陽電池中の正孔輸送層や電子輸送層に工夫を凝らし、光電変換効率を上げること、さらに量子化学計算を用いて、発電原理の詳細を解明し、その知見を用いて変換効率の増加を試みることを目的としている。 最後に、私、成島は、以前から知財教育研究を進めており、有機半導体太陽電池の測定回路を調査した。その結果を受けて、有機半導体太陽電池に適した測定回路の開発を私と、本校、岡本教授、池田助教とともに進めていることをここに報告する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、有機半導体太陽電池中の正孔輸送層を一次元化し、正孔の流れをスムーズにし、光電反感効率を上げることが目的の一つである。昨年度は、スピンコーター装置を貴申請により、購入し、導電性高分子PEDOT:PSS膜の作製に成功し、2021年5月18日現在、正孔輸送層PEDOT:PSS膜の上に光活性層、電子輸送層を作製し終えたところである。 本年度は、光活性層、電子輸送層作製用の真空蒸着装置に膜厚モニターを取り付ける予定である。コロナ禍の影響のため、当初申請計画のうち、初年度2020年度と本年度2021年度を入れ替えた形となっているが、現在のところ、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、光活性層、電子輸送層作製用の真空蒸着装置に膜厚モニターを取り付け、厚い光活性層作製による光吸収率の増大、並びに、電子輸送層の候結晶化による伝導電子の輸送性の向上を図ることにより、光電変換効率を増大する。また、正孔輸送層の一次元化は、昨年に引き続き高崎准教授に進めていただく予定である。 シミュレーションについては、私、成島が量子化学計算と有限要素計算をさらに進め、量子科学生産においては、分子の配列の違いによる電荷分布・電子雲の変化を全国大会に発表後、査読付き投稿論文に投稿する予定である。 有機半導体太陽電池の測定装置については、引き続き、本校、岡本教授と池田助教に進めていただく。
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