研究課題/領域番号 |
20K04699
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
小笠原 敏記 岩手大学, 理工学部, 教授 (60374865)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 風波 / 極域 / 気液温度勾配 / PIV / 陽的MPS法 / 風洞水槽 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,極域のような温度成層の場を設定することが可能な冷凍室内の風洞水槽を用いて,多様な成層条件下での実験を行い,温度成層が波の時間的発達率,摩擦速度および海面粗度に与える影響を明らかにする.さらに,代表風速で定義した海面抵抗係数の定式化を行い,その抵抗係数を組み込んだ数値水槽の開発を行うことである. 本研究によって極域における風波の発生・発達機構の解明および温度成層の条件に適応したバルク式の提案が可能となる.また,海面抵抗係数で表されるバルク式を組み込んだ数値水槽を開発することによって,極域で起こり得る波浪の推算に寄与することが可能となる.
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研究成果の概要 |
本研究では、気液温度勾配の風浪場を設定することが可能な風洞水槽を用いて、気液温度勾配が風波の発達特性にどのような影響を及ぼすのか、また、その影響を及ぼす物理的原因を考察したところ、以下の結論を得た。 1)水温に比べて気温が低くなるほど、波高が大きくなる傾向となる。また、この傾向は風速が弱い条件ほど顕著に表れることを明らかにした。2)波高が大きくなる原因として、水面温度が低下し水面の動粘性係数が大きくなることにより、風から水面に輸送される運動量が大きくなることを推察した。3)風速が大きくなり水面変動が発達すると、運動量輸送に影響を与える要因が水面の動粘性係数から形状抵抗に変化することを示唆した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、気候変動シミュレーションにおいて十分に検討されていない極域における気液境界層のモデル化の基になる貴重なデータを取得することができた。特に、気液温度勾配下における風波の波浪特性を明らかにし、気温の影響を受けた気液双方の動粘性係数の変化が波の発達に大きな影響を及ぼすことを明らかにした。このような事実は、観測データの乏しい極域における風波の発生・発達率の精度を高めることを可能とし、地球規模における気候変動の予測精度の向上に結びつく成果と言える。
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