研究課題/領域番号 |
20K04708
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22040:水工学関連
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
久木 幸治 琉球大学, 理学部, 教授 (60305183)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 波高 / 波浪気候 / 漂流ブイ / 自己組織化マップ / 東シナ海 / 波浪 / 再解析データ / 日本海 / 海上風 / 海洋レーダ / 波浪推算 / 補間 |
研究開始時の研究の概要 |
沿岸海洋防災の予測においては高分解能なデータ・モデルは重要である。特に海洋レーダなどのリモートセンシングは, 沿岸域の高空間分解能データの取得に有用である。そこでまず既存の再解析海上風データセットから, 高分解能化を簡単に行う手法を開発する。それによって波浪推算モデルや流れのモデルを駆動し, 現場観測・海洋レーダによるリモートセンシングデータ・モデルの相互検証によって, それらの有用性を評価する。それと同時に波浪推算モデルの改良, 及び海洋レーダによる海上風ベクトルや波浪スペクトル推定手法などの改良を行い, それらの有用性を検証する。
|
研究実績の概要 |
波浪推算の検証にはブイデータが必要である。特に流れが強い海域では漂流ブイによる観測が有効である。また波浪再解析データは波浪防災の評価にとって有用な資料である。そこでERA5波浪データとブイデータの差の、表面流速依存性を評価した。ERA5の波高は、平均波向に対して対向する流れの場合は顕著に過小評価される。一方、平均波向に対して追随する流れの場合は波高が過大評価される。それらの大きさは最大で20%にも及ぶ。ERA5データと漂流ブイの波の周期も対向流れの場合と追随流の場合で差異があることを示した。 次に東シナ海を対象とした波浪研究を行った。東シナ海は太平洋に面しており、うねりの影響を受ける。ERA5再解析データを用いて、うねり波高と風浪波高分布の変動を検討した。また、EOF解析に加え、SOMにより波高偏差の変動を検討した。 東シナ海でSOMとEOFの両方、あるいはどちらか一方だけで検出できる現象は何かを明らかにした。波高偏差のEOFの第1モードと第2モードの固有ベクトル分布図に対応するSOM配列のパターンが確認された。しかし、うねり波高偏差の主要なSOM配列のパターンには、EOF解析では見いだせなかったパターンも存在した。最も主要な波高偏差の分布は、特に夏季に頻度が高い。うねり波高偏差の最も主要なSOMパターンの頻度とEOFの第1モードはともに、うねり波高の増加傾向を示している。風速偏差パターンの最適領域を、東シナ海のうねり波高偏差パターンと最もよくリンクするように決定した。東シナ海のうねり波高偏差パターンと風速偏差パターンの関係は、季節によって変化する。また一部の気候変動指標と波高偏差のEOF時間係数は相関がある。 特に、夏のENSO指数とうねり高さ偏差EOF第1モードとの間には高い相関がある。これは、ENSO期間中にうねり波高が高くなることを示す。以上の内容の論文を出版した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
漂流ブイデータによる再解析データの評価は本研究の基礎となるものでその点は評価できる。また東シナ海の波浪研究に関して進めたのも評価できる。しかし波浪推算モデルの検証及び海洋レーダによる波浪推定に関する研究はやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
上述した海洋レーダによる波浪データの検証に関する成果を論文として出版できるようにする。また東シナ海の波浪再解析データを解析した結果,再解析波高データと現場観測データの長期変化の傾向が異なっていることがわかった。この問題は防災のための波浪再解析データの活用にとって重大であると考える。そこで高分解能な波浪推算モデルによる波浪データの長期変動を検証する。また日本周辺海域を中心とした高分解能海流データの解析も行う。
|