研究課題/領域番号 |
20K04725
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
杉田 暁 中部大学, 中部高等学術研究所, 准教授 (20650708)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ドローン・UAV / RTK‐GNSS / SfM/MVS / 高解像度リモートセンシング / 地理情報システム(GIS) / ドローン・UAV / RTK-GNSS / SfM/MVS / 地理情報システム(GIS) / 航空写真測量 / ドローン / GNSS / RTK |
研究開始時の研究の概要 |
ドローンを用いた高解像度リモートセンシングにおいて、写真と地図の統合の精度を向上することは、利用する様々な学術分野において重要な課題である。 本研究では、安価かつ小型・軽量な機器と測位技術、ドローン技術を統合して運用する方法論を構築することにより、ドローンの位置情報と空撮写真の付帯位置情報を高精度化し、写真と地図の統合を高精度化することを目的とする。 本研究内容が達成されることで、ドローンによる高解像度リモートセンシングがより有用になり、利用する学術分野全体の研究水準の向上とともに、精度の問題で今までドローンが利用されなかった分野におけるドローン利用による研究の進展に貢献することが期待される。
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研究実績の概要 |
2022年度は、一般的なカメラ搭載小型ドローンを用いて、GCP(Ground Control Point)を使わず、機体に搭載したRTK-GNSS(Real Time Kinematic-Global Navigation Satellite System)による衛星精密測位により写真に位置情報を付与し、SfM/MVS(Structure from Motion/Multi View Stereo)技術を用いて作成する写真地図の誤差低減を目的とした研究を行った。特に以下の2点についての検証を実施した。(1)ホバリング精度の検証:本研究で新たに開発したドローン飛行・空撮手法である「ACP(Aerial Control Photo)法」では、SfM/MVS処理の際に用いる写真の一部(ACP)に精密位置情報を付与する。ACPを撮影するタイミングでドローンは誤差低減のためにホバリング静止するが、このホバリングの精度は、成果物としての写真地図の精度に大きく影響すると考えられる。この精度を検証したところ、概ね水平で40から50cm程度、鉛直で30から40cm程度であった。(2)写真地図精度のACP数依存性の検証:SfM/MVS処理により成果物としての写真地図を作成する場合に、写真地図の精度がACPの数に依存しているかを検証した。264枚の空撮写真に対して、ACPを48枚使用した場合、36、24、12、6枚使用した場合でそれぞれ写真地図の精度を検証したところ、明確な依存性はないことが確認できた。ACP法により作成した写真地図の精度は、水平方向で1m程度、鉛直方向で1.3m程度となっているため、誤差の要因は他にもあると考えられる。現在検討している要因は、(A)アンテナ位相中心とカメラ撮像素子中心の相対位置補正、(B)レンズの歪み補正、(C)ACP推定アルゴリズムのさらなる高精度化、である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的に鑑みて、概ね順調に進捗している。当初計画では、写真の付帯位置情報の高精度化のために、一般的に用いられるドローンよりも大型のサイズのドローンにシャッタータイミングを出力可能なコンパクトデジタルカメラを搭載する方法を検討していたが、この方式を取るドローンは市販されはじめ、新規性に乏しくなった。このため、本研究では計画に修正を加え、ソフトウェア的な対応により更なる高精度化を図り、かつ、どのようなドローンを用いても高精度な写真地図を作成できるような方法の汎用化を行うこととした。特に、誤差要因の検討と定量的な評価を行い、さらなる高精度化のために必要な課題を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後に向けた研究の展開としては、RTKに匹敵する精度をもちつつ、基地局を必要とせずに精密測位を行う高精度単独測位:PPP(Precise Point Positioning)方式によるGNSS測位手法をRTKの代わりに用いるための実験・検証を行った。特にCLAS-PPP(Centimeter Level Augmentation Service-PPP)は、日本独自の準天頂測位衛星システムであるQZSS(Quasi-Zenith Satellite System)や地上電子基準点網GEONET(GNSS Earth Observation Network System)からの測位補強信号を受信して、精密測位を行う測位方式であり、世界に先駆けて日本で運用が実現しているGNSS精密測位方式である。CLAS受信機は、これまで高価(50万円から200万円程度)だったが、2022年に小型・軽量の受信機が1万円程度の価格で販売開始されたため、本研究で用いるための受信機として最適である。これと2周波多システム受信機を組み合わせて運用し、測位精度の検証を行った。静止点での測位では、水平方向に約5cm、鉛直方向に約20cm程度での収束を得ることができた。この結果はRTKより劣るが、本研究で用いるACP法で使用するためには十分(ホバリングの揺らぎよりも小さい)である。また、移動体に搭載しての測位では、高速道路を中心に約270kmを走行しながら測位を行ったときに、約80%のFix率を実現している。
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