研究課題/領域番号 |
20K04740
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22050:土木計画学および交通工学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
宇都宮 浄人 関西大学, 経済学部, 教授 (70334589)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 地域公共交通 / 広義社会的便益 / 費用便益分析 / 存在効果 / 時間価値 / ソーシャルキャピタル / 社会的便益 / 持続可能性 / モビリティ / SUMP / 中心市街地 / ソーシャル・キャピタル / 脱炭素 / 存在価値 / CVM |
研究開始時の研究の概要 |
日本の地方圏では、自家用車への過度な依存を改めるために、地域公共交通の利便性等を向上させ、これを活性化・再生することが課題となっている。しかし、伝統的な費用便益分析では、そうした交通整備に係る事業が採択されないことが多い。その理由の一つとして、従来の便益計算ではその効果が限定的にしか把握されないという問題が指摘されている。そこで、本研究では、地域公共交通のもたらす広義社会的便益として、ソーシャル・キャピタルへ影響とその存在価値に焦点を当て、アンケート調査等からその効果を定量的に把握し、交通政策の新たな考え方を提示する。
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研究成果の概要 |
全国アンケート調査により、日本では、鉄道事業者がまちの魅力形成に影響があると感じる人が多いこと、鉄道の存在に伴うさまざまな効果に期待が高いことが判明した。また、全国及びひたちなか海浜鉄道沿線で実施したアンケート調査からは、子どもの時間価値は、大人と同程度もしくは大人よりも価値が高いという回答を得た。このことは、大人と同等という前提で算出される現行の社会的便益は過小推計となる。 一方、オーストリアでのアンケート調査結果からは、新たなトラムの整備によって3割の人が「他人との関係」に何等かの変化を感じたと回答し、公共交通のサービス改善がソーシャルキャピタルへの影響を示唆する結果となった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究から、伝統的な便益計算に含まれない鉄道の存在価値があることが判明したほか、費用便益分析で用いられる時間価値について、子どもの時間価値が過小評価されている可能性があることが示された。また、地域公共交通のサービス改善がソーシャルキャピタルの醸成につながるという点でも、広義社会的便益を考慮する必要があるとの結果になった。従前の費用便益分析では投資がなされなかった地域公共交通について、投資を行うことで広義社会的便益が得られる可能性がある。そのことは、日本の地域公共交通の政策転換の必要性を示すといえる。
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