研究課題/領域番号 |
20K04753
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
関戸 知雄 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50301015)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | リサイクル / 途上国 / 資源循環 / インドネシア / ごみ分別 / ごみ銀行 / 資源回収 / 東南アジア / リサイクル行動 / 分別 / プラスチック |
研究開始時の研究の概要 |
近年、東南アジアでは、住民コミュニティー主体のごみ処理制度(CBWM; Community Based Waste Management)が導入されている。CBWMは、廃棄物処理が貧弱な途上国でも低コストで導入でき、海洋汚染で問題となっているプラスチックごみの資源化に寄与する。本研究では、インドネシア・バトゥ市のCBWMで分別キャンペーンを実施し、(1)参加世帯の意識変化および分別行動の定着度、(2)CBWMの作業環境改善効果と資源化率向上効果、(3)環境負荷低減効果を定量化し、家庭でのごみ分別の有効性を明らかにする。得られた結果より、東南アジア諸国の資源循環と環境保全に貢献する。
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研究実績の概要 |
本年度は、インドネシアのインドネシアのCBWM(Community-Based Waste Management)を実践しているバトゥ市ダダプレジョ村のDM-TPSの資源回収活動の実態調査を目的として、搬入および搬出される廃棄物組成調査を実施した。組成調査は、2021年10月26日から継続して2023年3月までに5回にわたって実施した廃棄物の組成調査データ解析を行った。5回のフロー解析を行ったところ、昨年度の資源回収割合44.3%から12.3%に大きく減少していたことが明らかとなった。これは、調査期間中に資源収集方法が変更され、有機系廃棄物の回収がされなくなったためであった。 DM-TPSに加入している世帯へアンケート調査を実施した。ごみ選別を行っていない173世帯より回答が得られた。「分別が廃棄物の資源化に有効である」ことに同意する割合は、「強く同意」が47%と半数近くであり、「同意」と合わせると96%と非常に高かった。また、分別が非衛生的な行為であると回答した割合は91%と高く、ごみを扱うことに対する嫌悪感が家庭での分別の妨げになる可能性が明らかになった。一方、「分別を行うことは難しいとは思わない」に同意する割合は71%と高く、決して分別しようと思えばできることであると考えている世帯も多い。しかし、ごみを扱うことは非衛生的であるという考え方もあるため、他人任せに考えている可能性も考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、インドネシアバトゥ市ダダプレジョ村で実施されているCBWM(Community-Based Waste Management)であるDM-TPSでの資源回収活動実態調査を実施した。また、昨年度のCBWM参加世帯へのヒアリング調査結果をもとに、アンケート調査を実施した。対象は、ごみ分別を行っていないDM-TPS参加者173世帯、ごみ分別を行いごみ銀行にも協力している150世帯に対して実施することができた。および分別キャンペーンを実施する世帯の絞り込みを行うことができた。 また、インドネシア・アンボン市のTPS3Rの実施状況や関係者のかかわり方に関する情報について、現地のコンサルタントから入手した。指標を用いたTPS3Rの評価の結果、課題はTPS3Rによって異なるものの、運転状況は好ましい状態ではないと評価された。十分な施設設備がないことなどが原因として考えられた。また、同市における4つのごみ銀行についても調査を行い、ごみの分別協力が課題であることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
1. マスフロー解析 今後の研究では、昨年度までのDM-TPSでの調査で収集された廃棄物量および組成データを用いて、資源循環率を明らかにすることを目的として詳細なマスフロー解析を行う。調査期間中に、DM-TPS内のごみ選別方法が変更された。この変更によって生じた廃棄物フローの変動を解析することで、異なる分別方法が全体のリサイクル率にどのような影響を与えるかを考察する。結果をもとに、効率的な資源回収に寄与する主要な要因を特定し、廃棄物分別プロセスの効果を向上させるための改善点を明らかにする。 2. アンケート解析 昨年度実施したアンケートのデータを解析し、家庭がどのようにして廃棄物を分別するかを決定する主要な要因を特定することを目指す。これらの要因を明らかにすることで、家庭の廃棄物分別行動を改善するための具体的な介入策を考察する。計画行動理論を応用し、統計的および定性的な解析方法を用いて、アンケートデータから効果的な廃棄物分別への参加を妨げる一般的な障壁と、潜在的な動機付け因子を特定する。 3. 模擬キャンペーンの実施 マスフローおよびアンケート解析から得られた結果を基に、現在適切な廃棄物分別を行っていない家庭の分別行動を改善するための模擬キャンペーンを実施する。このキャンペーンでは、これらの家庭に2週間にわたり廃棄物の分別を実施するよう、必要な情報やツールとともに依頼する。キャンペーン終了後、資源回収率や参加者の環境意識に与える影響を評価する。収集されたデータを基に、家庭が直面した課題を特定します。これらの結果を踏まえ、持続的な廃棄物分別の協力を促進するための戦略を提案する。
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