研究課題/領域番号 |
20K04810
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
鍋島 美奈子 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (90315979)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 施設農業 / 暖房負荷 / 冷房負荷 / 再生可能エネルギー / 下水熱利用ヒートポンプ / 太陽熱温水器 / 農業施設 / 持続可能性 / 都市農業 / エネルギー消費 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代都市農業の資源を,都市近郊の『①人材』,『②スペース』,『③エネルギー』であると考え,それらを総合的に評価するため,それぞれのポテンシャルマップ(たとえば,「担い手ポテンシャル」,「地域貢献ポテンシャル」,「立地ポテンシャル」,「熱源ポテンシャル」などを総合化)を作成し,持続可能な都市農業の適地を探索するための総合評価指標の開発をおこなう.都市に立地する「路地農業」,「太陽光型施設農業」,「人工光型施設農業」を対象に,社会,経済,環境面から総合的な評価をおこない,統計モデルにより人口や土地利用の将来像を予測することで,都市農業の持続可能性について過去―現在―未来の時空間解析をおこなう.
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研究実績の概要 |
本研究は次世代都市農業の資源を,都市近郊の『①人材』,『②スペース』,『③エネルギー』であると考え,それらを総合的に評価するため,持続可能な都市農業の適地を探索するための総合評価指標の開発を目的としている. 2020年度は大阪市内の農地に対して「太陽光型施設農業」を想定し,現存する大阪市内の農地を対象にGISを用いた空間分析をおこない,暖房用に必要な熱を再生可能エネルギーで賄うことが可能な農地の割合を調べた結果,全体の56%,858筆の農地で下水熱利用のヒートポンプ給湯機の設置が可能であることがわかった.残りの44%は農地周辺に下水配管の流量が少なくポテンシャルが十分でないとの結果になり,空間的に偏りがあることを明らかにした. 2021年度は半透明太陽光発電パネルによるゼロエネルギーガラスハウス(温室)が可能か否かを全国の気象条件が異なる地域において試算した.温室の熱収支モデルによる冷房および暖房負荷を試算し,空気熱源ヒートポンプにて設定室温に制御するための電力消費量を求め,年間を通した発電量との比較をおこなった.その結果,空調条件が高水準の場合,壁面をペアガラスなどに変更しても,全ての地域でゼロエネルギー化達成は難しく,空調条件が低水準の場合,壁面をペアガラスや低放射ペアガラスにすることで,大阪,那覇などでゼロエネルギー化の達成が可能であることがわかった。 2022年度は夏場のビニールハウスの暑さ対策を中心に実測調査をおこなった.「太陽光型施設農業」では作業者の熱中症対策の観点から夏場の暑さ対策が必須である.本研究では,ハウス内天井付近に設置する日射遮蔽ネットと蒸発冷却パネルとの比較により環境改善効果の検討をおこなった.その結果,蒸発冷却パネルを日射遮蔽装置として利用することで,パネル下の作業者に対する放射環境を改善できることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のため国内外の調査は,現地調査ではなく文献調査を中心に変更し,シミュレーションによる検討を中心に実施している.まず,都市農業において活用可能な再生可能エネルギーとして,2020年度には下水熱,太陽熱利用の検討を行い,下水流量の空間分布や太陽熱集熱パネルの設置スペースの制約を考慮して,二酸化炭素排出削減量を試算した.2021年度には半透明の太陽光発電パネルの導入を想定し,ガラス温室のゼロエネルギー化の可能性について検討し,全国の気象条件を考慮して評価をおこなった.2022年度には暑さ対策の効果について実測とシミュレーションで検討した.また,2022年度は未利用エネルギーの観点から厨芥ごみの資源化ポテンシャルマップを作成し,空間分布を把握した.今後はバイオガス発電の回収熱の活用先として都市農業とのマッチングを検討する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,都心部の高架下や建物内部の空きスペースを活用した農業に必要なエネルギー消費について検討するため,周辺土地利用を考慮した日射照度を推定するモデルを提案し,人工光型施設農業に比べて太陽光型施設農業が有利となる立地条件などを明らかにしていく.2023年度が最終年度となるため,成果をとりまとめ,ジャーナルや国際会議で発表してく予定である.
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