研究課題/領域番号 |
20K04833
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
片山 健介 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (00376659)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 国土政策 / 人口減少 / オランダ / 広域計画 / 地域生活圏 / スポンジ化 / 立地適正化計画 / 広域連携 / 都市圏 / 策定技法 / 欧州 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本における市町村間連携の取り組みの到達点と課題を明らかにしたうえで、広域計画・広域連携において先進的な取組みが多くみられる欧州における広域計画の策定技法を実証的に明らかにし、日本と欧州の事例から、人口減少局面における広域計画策定技法を導出することを目的とする。そして、日本での広域連携の経験を踏まえて実践可能なプランニング・プロセスを提示することを目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は、課題II(欧州における広域計画策定技法の事例研究)について、オランダを対象とした事例研究を進めた。現地ヒアリング調査を行い、以下の知見を得た。 第一に、オランダでは、2021年に策定された国の環境ビジョンの改定が進められている。住宅や都市化、気候変動など複雑化、深刻化する課題に対処するため、国が空間計画における役割を取り戻すという考えのもと、増大する空間需要にどう対処するか、各州に空間提案の作成が求められている。 第二に、オランダにおいては、2010年代には人口減少地域の対策が国の課題となっていたが、その後移民の増加およびコロナ禍の人口移動の変化により、人口減少は以前に比べて大きな課題ではなくなってきている。むしろ、欧州諸国と比べても顕著な人口増加による住宅供給が大きな課題となっている。しかし、人口減少により生活サービスや公共交通の衰退が課題となっている地域はあり、それらの地域での生活環境水準を維持することが国土政策においても認識されている。 第三に、縮小地域の事例として、フローニンゲン州デルフセイル(エームスデルタ市)においては、"narrative planning"の取り組みが進められている。これは、縮退地域における課題を修復することが新たなアイデンティティの一部になるという考え方に基づくものであり、日本の伝統技術である「金継ぎ」を参考にしたものである。その中では、地域が持つバイオグラフィー、すなわち地域を形作ってきた文化、歴史、ランドスケープを伝記として記述し共有することで、地域の空間デザインのインスピレーションの源となるとされている。デルフセイルでは、このバイオグラフィーを作成し、地域との対話を進めており、今後、法定の空間計画である環境ビジョンにどのように生かしていくのかを模索している段階にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は海外渡航が可能となり、課題IIに係る調査を実施することができた。しかし、研究期間がコロナ禍と重なったことで全体としては調査等の実施が予定どおりに進んでおらず、「遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き課題II「欧州における広域計画策定技法の事例研究」を中心に研究を進める計画である。2023年度に実施したオランダ調査のフォローアップに加え、地域特性を勘案して事例を選定し、調査分析を行いたい。 課題I「日本における人口減少局面での地域計画」については、各広域地方の計画策定プロセスに係る調査分析も行いたい。 その上で、課題III「人口減少局面における広域計画策定技法の導出」に向けた検討およびとりまとめを行いたい。
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