研究課題/領域番号 |
20K04849
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
小野 尋子 琉球大学, 工学部, 教授 (20363658)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 駐留米軍用地跡地利用計画 / 水循環基本計画 / 流域水収支 / 流域水循環 / 大規模基地跡地利用 / 持続可能性 / 流域圏 / 大規模開発 / 基地跡地利用 / 計画調整 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は、行政の普天間飛行場跡地利用計画に有識者として関与してきた。米軍の飛行場というと「滑走路」のイメージが強いが、実際に航空写真を基に計測すると、普天間飛行場は基地内土地利用の7割が自然的土地利用で被覆されている。この基地が流域水循環の中で雨水を大量に涵養しており、海岸段丘下から湧水群として流出している。申請者らの調査により、湧水群は、産業・家庭用水として年間約260万tの利用がなされている。しかし、返還開発後は土地がアスファルト等で被覆されるため、雨水の地下浸透量が減り湧水量が減少する事が懸念されていた。本研究は、湧水の持続可能性に配慮した大規模基地返還の計画論を解明するものである。
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研究実績の概要 |
研究代表者は、平成27年度から行政の普天間飛行場跡地利用計画に有識者として関与してきた。宜野湾市にはA-Eの5流域があり、流域内に普天間(480ha)、西普天間住宅地区(50.8ha)、大山土地区画整理事業(49ha)の3つ大規模開発の計画がある。普天間飛行場は高い透水性を有する琉球石灰岩台地上にあり、また、基地内土地利用の7割が自然的土地利用で被覆されている事から、旺盛に雨水を地下へ浸透させている。そのため、返還がなされていない現在は、海岸段丘下の西普天間住宅地区内や大山地区で湧水群として流出している。しかし、返還開発後は基地内の土地が市街化によりアスファルト等で被覆されるため、雨水の地下浸透量が減り、結果として湧水量が減少する事が懸念されていた。 2022年度は、普天間飛行場よりも先に返還された西普天間住宅地区における計測データ76,032回分の10分間間隔の降水量および河川流量の全データをハイドロ・ハイエトグラフ化し、単位降水量当たりの河川流量の変化について、少量降雨から通常降雨、降雨量が多い場合の応答状況、季節別の変動などについて、整理を行い、亜熱帯地域での降雨特性と河川流出の特性について解析した。また実蒸発散についても地下水位を基に、実測値ベースで検証を行い、理論値を用いていた過去のモデルの検証と水収支モデルの改善を行った。 10分おきの連続観測データを用いて、過年度まで算術モデルとして分析してた水収支モデルを物理モデルとして検証している。 結果をとりまとめて国際学会で発表をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までのデータ収集により、全76,032回のデータを入手することができ、現在、これをもちいて水収支モデルを作成する予定である。解析結果については、査読付き学会誌への投稿準備を進めている。 また、コロナの影響で海外の先進事例の調査の実施のための調整が難しかったが、2023年度の実施に向けて、事例調査実施のための調整を進めており、研究で計画していた内容についておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度、計画していながらコロナで実現できなかった海外の都市開発における緑地計画の事例調査を実施する予定であり、その調整を進めている。 普天間飛行場の基地跡地開発では、100ヘクタールを超える大規模公園の整備によるランドスケープイニシアティブの計画が検討されており、国営公園としての大規模公園の誘致は地主会の総会で決議され、組織合意がなされている。しかし、組織合意から時間が過ぎ、地主の世代交代なども進みつつある中で、若手の地主の中には緑地を軸とする開発が市街地の魅力を増進するかどうかについて懸念を持つ声も上がってきており、今一度、緑地を軸とした都市開発の魅力について検討が求められている。2023年度はこうした懸念事項を整理し、また水と緑に配慮した持続可能な都市開発の先進事例として、海外の事例を調査し、地域還元しながら研究を進める。
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