研究課題/領域番号 |
20K04876
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
土田 寛 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (00625353)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 再々開発 / 立体的土地利用 / 地域貢献(施設等) / オープンスペース / 地区拡張性 / リノベーション ・コンバージョン / 持続性 / 地域貢献施設・空間 / 立体都市計画 / 用途変更 / 地域貢献施設 / 立体的機能配置 / 都市・地域の集約 / 都市の再々開発 / 大規模建築の更新 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は大規模建築物を伴う開発地区が老朽化していくことと縮小する都市の関係に着目している。我が国の大規模開発手法そのものが欧米の手法を概念輸入して行われてきており、欧米の先駆的な大規模複合用途開発事例を対象に調査・研究する。 欧米における大規模開発は長きに渡りその機能を維持し続けている事例が多数存在しており、古くは1960年代から建設され、現在においても取り壊されることなくコンバージョン等により再生されている。 日本においても近い時期に開発地区の更新が求められ、改めて欧米の先行事例が如何なる系譜や手法で持続してきたのか検証を行った上で、日本における再々開発手法に関する知見と課題を求める
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研究実績の概要 |
2023年度は、海外事例ヒアリングならびに実地調査等の受け入れ先との調整に時間を必要とした。これと同時に主に北米の西海岸(サンフランシスコ等)と東海岸(ニューヨーク等)の開発事例の中から調査対象とする事例等を絞り込みを行った。加えて、文献等での情報収集とその分析と考察を実施し、ヒアリングを行う対象としてマスタープランの作成主体や開発を主導したデベロッパーや開発公社等の中から適切と思われる主体の絞り込みを行った。次年度の渡航してのヒアリング並びに実地調査を行う具体的な調査計画を立案した。 併せて国内事例、特に法定再開発事業にかかる現状を調査を実施して、土地区画整理事業ならびに再開発事業に関して、高度利用(容積増進)のみによらない、複合的かつ有機的な市街地再整備事例を収集した。具体的には、低未利用地を含むエリアへの事業区域拡大からの従前実行容積率を基本とした緩やかな高度利用と段階的な整備計画などの事例、さらに容積率的には減築を実施する中で、より具体的で実効的な施設やオープンスペースの整備、加えてその運用管理などまでを大きな意味での地域貢献とする考え方を示す事例が見られた。 詳細は次年度の調査によるが、地域貢献や将来的な持続的都市づくりへの公益性の確保については、可能性を含めて概念拡張もしくは概念の転換が起こっている可能性を把握することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査研究の実施体制、受け入れ側の状況など新型感染症にも起因する社会的な変化は、想像以上に大きいと思われる。我が国においても少子化は加速度的に進み、国際的な経済、社会状況の変化は見過ごせない範囲を超えていると考えざるを得ない。 その意味で、緩やかな縮小社会から激変する変化も考慮する必要もあるため、具体的な調査等の事前準備に時間を要している。 具体的には、事前のメール、遠隔会議システムなども併用しつつ、現地実査および資料収集の有効性を高める方策、計画立案を慎重に行っている。これまでに調査対象となる開発事例を絞り込み、開発時点の開発関連事業者等の洗い出しとその後の所有者、運用者の変革などを調査しておおむね判明している。先に示したメールなどによるヒアリングからキーとなる組織やクリティカルポイントの洗い出しを進めてきている。現地実査についても為替の影響を最小限とするために滞在日数を短縮する必要性も高まっている。そのため、調査内容及び調査地点など綿密な計画を立案している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には、激変している可能性のある経済、社会的な変化をトレースしつつ、持続的開発にも十分に配慮して、収集された海外、国内の事例やその考察を総合的に分析して、低成長から縮小社会における市街地形成と再整備に向けた知見と手法を整理して、今後の都市づくりにおける概念構築を図ること目的とする。 現段階では、国内事例からこれまでの容積率インセンティブ型手法のみによらない事例の報告例がある。特に法定の再開発事業において、市街地の不燃化を目的として非木造系建築物を整備してきた流れが基本であり、これを公的資金導入の理由(公益性の位置づけ)としていたが、これから離脱して、内在する公益について十分な説明性を有していない可能性もあるような事例が見受けられている。加えて、老朽化建築物に対して拡大的な事業制度の適用された事例や整備済みの道路等を高容積率実現のために廃止する手法なども見られ、これも建築物等を私的な財産として位置づけつつも、その再整備にあたって再々開発的な考え方を援用していることに若干の違和感を覚えている。海外では都市開発について当初からの開発利益還元とその説明性が強く求められる傾向はこれまでも分かっており、これらの事例調査並びにその分析からポイントとなる知見を導出したい。国内外の事例を比較分析する中で縮小ないし成熟する都市の機能再編、配置転換から都市の再価値化と持続的なあろ方に関する知見を得て、できれば方法論の構築に着手したい。
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