研究課題/領域番号 |
20K04877
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
丹羽 由佳理 東京都市大学, 環境学部, 准教授 (80586751)
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研究分担者 |
佐野 友紀 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70305556)
丹下 学 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (70549584)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 災害 / 外国人 / 避難 / シミュレーション / シナリオ / マルチリンガル / 地下空間 / エリア防災 / エリアマネジメント / 地下街 / 駅 / ネットワーク / バリアフリー / 避難行動 / 都市型水害 |
研究開始時の研究の概要 |
より良い都市環境を持続させるためには,「災害時への備えが平時の付加価値となる」という考え方が重要である.本研究における「マルチリンガル化」とは,単なる多言語対応に留まらず,サイバーとフィジカルのバリアを解消し,都市に埋め込まれたサインのあり方や一時的な空間提供,情報システムの構築等の支援を含んでいる.研究方法は,「外国人の避難行動実験」から被災場所から避難場所への経路におけるフィジカルなバリアとサイバーなバリアを抽出し,「属人的避難シミュレーション」からポテンシャル値に応じた移動を検証し,外国人避難ボトルネックの深刻性を評価する.
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研究実績の概要 |
(1)エリア防災に対する就業者の意識 -エリアマネジメント活動に着目して- より良い都市環境を持続させるためには、「災害時への備えが平時の付加価値となる」という考え方が重要である。本研究は、東京・大阪・名古屋・札幌・福岡の都心部で展開されているエリアマネジメント活動に着目し、「防災」という活動が就業者にとってどのように捉えられているかを明らかにした。この研究成果は、14th ISAIA secretariat/Architectural Institute of Japanにて発表予定である(Abstract採択済/2024年5月時点)。 (2) 避難行動実験のとりまとめ 2022年に実施した「外国人と日本人を対象とした避難実験」のデータを用いて、避難にかかった時間、出口探索行動、視線計測による注視傾向について精緻な分析を行った。地下空間から地上出口への避難では、日本人と外国人に違いが見られた。外国人は掲示物の矢印を注視しやすいため、避難誘導サインの矢印と他の案内矢印とを交錯させないようにすることが望ましいことが分かった。避難誘導サインと掲示物との関係についてはより精緻な調査分析が必要であったため、追加の分析を行った。現在は国際誌への投稿準備を進めている。 (3) 不特定多数が集まる空間の避難シミュレーション 2022年度までは主に地下空間を対象にした実験・避難シミュレーションを実施してきたが、2023年度は津波の恐れがある海岸部に位置しており、不特定多数が集まる総合公園を対象としたモデルを構築し、避難安全シナリオの検討を行った。津波発生時には、プール利用者を短時間に避難させる必要があるため、人的誘導シナリオと安全設計シナリオを組み合わせ、シミュレーションを用いて対策の効果を比較した。この研究成果は、審査中である(2024年5月時点)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始時には、COVID-19の影響で人が集まる駅空間の調査が制限されており調査の遅れが生じたが、2023年度はおおむね順調なスケジュールで研究を遂行できた。大都市で行われているエリアマネジメント活動に着目して、エリア防災に対する就業者の意識を分析し、エリア防災をどのように捉えているかを把握できた。また昨年度実施した避難行動実験をとりまとめ、より精緻な分析を進めることができた。さらに、不特定多数が集まる総合公園を対象としたモデルを構築したことにより、避難安全シナリオを検討できた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、これまでのシミュレーションの結果と実験の結果を考察し、エリア防災に欠けている属人的な視点を補強していきたい。調査・実験で得られた成果をとりまとめ、積極的に論文投稿を進める。 本研究における「都市のマルチリンガル化」とは、単なる多言語対応ではなくピクトグラムなどの情報も含んでいる。都市に埋め込まれたサインのみではなく、一時的な空間提供、情報システムの構築も対象として進めていきたい。複雑な地下空間に加えて、不特定多数が集まる屋外空間も考慮し、地下と地上との接続や平時と災害時の空間マネジメントのあり方について、議論を深めたい。外国人の避難行動分析から、都市が抱える障害(バリア)を抽出し、都市のマルチリンガル化に向けた評価項目の構築を目指す。
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