研究課題/領域番号 |
20K04887
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田路 貴浩 京都大学, 工学研究科, 教授 (50287885)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | シャルル=エドゥアール・ジャンヌレ / ル・コルビュジエ / ラ・ショー=ド=フォン / 都市の構築 / 都市デザイン / ラ・ショー=ド=フォン / パルティ / 郷土愛 / 愛郷心 / シュルツェ=ナウムブルク |
研究開始時の研究の概要 |
ル・コルビュジエは、いまだ本名シャルル=エドゥアール・ジャンヌレを名乗っていた青年時代に、「都市の構築」(1910年)を執筆した。この未刊に終わった草稿は、生まれ故郷ラ・ショー=ド=フォンの都市改良案を含む都市デザイン論で、カミロ・ジッテに強く影響されていた。しかしその後、大きく方向転換し、1922年には近代都市モデル「300万人のための現代都市」を発表する。果たしてこの12年間に何があったのか。その変貌過程を追跡する一連の研究として、「都市の構築」を分析し、その内容を体系的に把握し、思想的な影響源を探査する。
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研究成果の概要 |
本研究は、シャルル=エドゥアール・ジャンヌレの未定稿「都市の構築」に表明された都市デザイン論の基本理念と手法を明らかにした。とくに街区、道、広場の記述を対象に分析を行い、視覚的・身体的評価軸と実用的評価軸を導出した。 さらにジャンヌレの参照源として、とくにド・モントナックから「都市のシルエット」が引用されていることに注目した。ド・モントナックはドイツ郷土保護運動に共鳴し、風景美を通じて愛国心が生まれるとし、伝統的な都市美の保護を主張した。ジャンヌレもド・モントナックへの同調を見せるが、一方で、愛郷心の創出根拠を都市のシルエットの視覚的明瞭さに還元し、近代的な都市景観の見方の萌芽を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、モダニズム都市を描いたル・コルビュジエの都市デザイン論の最初の試みを詳細に分析し、カミロ・ジッテの中世主義的都市デザイン論の影響を色濃く反映していることを明らかにした。一方で、広場や街路の都市空間の評価には、身体的場所性、生理的な疲労の有無、視覚的な囲繞感といった近代的な視覚的・身体的視点が導入されていた。このように、1910年に執筆され、1915年に加筆修正されたこの草稿は、モダニズム都市デザイン論への推移の一局面を映し出す鏡になっており、その内実を解明したことで都市デザイン史に新たな知見を加えることができた。
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