研究課題/領域番号 |
20K04913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23040:建築史および意匠関連
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
佐藤 圭一 福山大学, 工学部, 教授 (60435378)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 藺草(イグサ) / 来山淳平 / 選定保存技術 / 手織中継表製作 / 畳 / トレーサビリティ実証実験 / 備後藺表(びんごいおもて) / 備後表継承会 / 重要伝統的建造物群保存地区 / 地域遺産 / 鞆町 / 備後表 / 中継ぎ織り / 備後藺表 / 中継織り / 藺草 / 備後三蔵動力中継織機 |
研究開始時の研究の概要 |
畳(藺草)は単なる床材の一つではなく、日本建築文化の重要な一部分を成す。これを断絶するのか、継承するのか、あるいはそのあり方の大変革を受容するのか。最高級畳表と謳われながら、絶えつつある備後表が抱える喫緊の課題を通じて、国産畳表の保全と継承のあり方に答えたい。他県産藺草を原料とし、他県で製織した畳表を「備後表」として流通させ、国宝建造物修理にも使用される錯綜した現況は、備後地域や畳業界だけでなく日本建築文化にとって好ましくない。藺草栽培や製織実践、国内外の現存産地における臨地調査によって、備後表の生産・流通・設計・施工の全プロセスを明らかにし、その保全と継承のための知見と指針を得る。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、消滅危機にある希少な備後藺草を露地において栽培実践することを研究方法の1つとする。協力農家や備後表継承会と共に、2023年7月に福山市本郷町の藺草圃場で前年11月に植えた藺草の刈り取りを行った。また、2023年11月には福山市本郷町で藺草の植え付けを行った。本研究着手前を含め、協力農家との藺草栽培の協働は、2023年の植え付けで8シーズン目である。国宝修理等にも指定され、最高級と謳われながら絶滅危機の備後表の継承には、統計に表れないミクロな実態把握がまず必要である。そのためには、藺草栽培から畳表生産・流通、建築設計・施工という藺草が建築化される全プロセスに関する実践研究が必要不可欠となる。 本研究に取り組むにあたり、2018年に「備後表継承会」(以下、継承会)という任意団体を立ち上げ、業界関係者らとも協働して実践研究をしてきた。継承会は10の事業内容を掲げたが、その1つである「5.中継表の製織技術継承と織機保全」について関連成果があがった。2023年10月に、これまで調査研究を続けてきた「中継ぎ」の技術に関して、「手織中継表製作」が選定保存技術に選定され、調査対象者で備後在住の唯一職人である来山淳平氏が保持者に認定された。 また継承会は、「6.備後表の品質保証システムの再構築」も事業内容の1つであるが、蓮華寺持仏堂(福山市今津町)において、通算5回目となる備後藺表のトレーサビリティ実証実験を実施して、藺草栽培から畳施工までのプロセスを検証した。同時に、これまで継承会やイベントなどで試用してきた「備後藺表(びんごいおもて)」という概念を日本建築学会で提唱した。「備後地域産の藺草を原料とした備後表」を意味するものである。この一般的な呼称によって、備後藺表を「他地域産イグサを原料とした備後表」と区別して特定し、その保全継承の推進に繋げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「備後藺表(びんごいおもて)」という概念提示も行い、新たな備後藺表トレーサビリティ実証実験も実施して成果も得た。また、国内産地の比較調査も行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2024年度は、延期していた海外における臨地調査も実施し、比較研究を進める。
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