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金融市場における間欠性の確率過程についての実証研究とリスク評価への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20K04972
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分25010:社会システム工学関連
研究機関成城大学

研究代表者

増川 純一  成城大学, 経済学部, 教授 (30199690)

研究分担者 黒田 耕嗣  日本大学, 文理学部, 教授 (50153416)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワード金融時系列 / マルチフラクタル / 間欠性 / モデリング / 統計力学モデル / 極値分布 / フレッシェ分布 / リスク評価
研究開始時の研究の概要

間欠性は大きな変動の生起に関する確率的性質であり、保険や金融市場においてのリスク評価にとって重要な情報と考えられるが、間欠性をどのように記述すべきかということは、複数のアプローチがあり明らかではない。
本研究では、金融資産価格の時系列を間欠性の観点から実証分析を行うことにより、確率過程モデルが備えるべき要件を明らかにする。また、申請者らがすでに構築した確率モデルと極値理論との融合により、大変動の確率分布の漸近挙動、その生起に関する待ち時間分布などの間欠性の観点から、金融資産価格の時系列が持つ統計的性質を明らかにする。また. 間欠性が金融資産保有のリスクに及ぼす影響を明らかにする。

研究実績の概要

株式市場、外国為替市場などの金融市場における資産価格の変動には、間欠性という普遍的な特徴があることが知られている。間欠性は大きな変動の生起に関する確率的性質であり、保険や金融市場においては、そのリスク評価にとって重要な情報と考えられる。
本研究では、金融資産価格の時系列を間欠性の観点から実証分析を行うことにより、その確率過程モデルが備えるべき要件を明らかにし、間欠性が金融資産保有のリスクに対して及ぼす影響を明らかにする。
同様の時空間的な間欠性を持つシステムとして発達乱流が知られている、乱流の研究ではエネルギーが注入される大きい時空間スケールから、熱的に散逸される微細スケールまでのエネルギー・カスケードをモデル化したカスケード・モデルがよく現象を説明する。本研究課題における成果として、金融時系列の実証研究と非常に良い整合を示す連続的ランダムカスケードモデルが査読付論文として学術雑誌に掲載された。
また、これまで研究代表者らが行なった離散的ランダムカスケードモデルの実証研究や、先に述べたその拡張である連続的ランダムカスケードモデルなどの成果も含む、株式市場のマルチフラクタル解析全般について記述した著書(株式市場のマルチフラクタル解析)を、研究協力者との共著で執筆した。
連続的ランダムカスケードモデルは金融時系列の時間発展のモデルではないが、マルチフラクタル性を示す時間発展モデルとしては、Bacry, Delour, Muzyらのマルチフラクタル・ランダムウォーク・モデル(MRW)がよく知られている。研究代表らの計算で連続的ランダムカスケードモデルとの関係も明らかになりつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在は、本課題の目標の一つである、大変動の確率分布の漸近挙動、その生起に関する待ち時間分布などの間欠性の観点から、金融資産価格の時系列が持つ統計的性質を明らかにすることを目標に研究を行なっている。
先に述べたBacry, Delour, MuzyらMRWモデルは金融資産時系列の数理モデルとして優れているので、このモデルを出発点として実証的に整合的なモデルを構築したい。MRWモデルの実際の高頻度株価時系列による検証の過程で、MRWモデルでは無限小(ゼロ)とされていたスケーリング則が適用される時間スケールの下限の存在が明らかになりつつある。このことは、金融資産の価格時系列に乱流のミクロな空間スケールであるコルモゴロフ・スケールに対応するような、時間的スケールが存在することを意味する可能性がある。また、並行してMRWモデルの極値統計についての理論計算を行っている。いわゆる極値理論は独立な確立過程に対して得られているものがほとんどで、MRWのような非独立な過程に対しては限られた結果しか得られていない。計算の見通しは得ているが、精緻で慎重な計算が必要であり、予定を上回る時間がかかっている。2024年度まで課題の実施期間を延長し成果を出したい。

今後の研究の推進方策

1.コルモゴロフ・スケールを統計学的に正しい方法で推定すること。
2.コルモゴロフ・スケールが存在することによって、MRWモデルは理論的にどのような変更が必要であるかを理論的に計算すること。
3.先に述べたMRWモデルの極値統計についての理論計算を完遂し、実証研究と比較することにより妥当性を検証したい。その上で、必要なモデルの拡張を行う。
4.拡張したモデルと実証研究に基づき、間欠性が金融資産保有のリスクに及ぼす影響を明らかにする。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Model of Continuous Random Cascade Processes in Financial Markets2020

    • 著者名/発表者名
      Maskawa Jun-ichi、Kuroda Koji
    • 雑誌名

      Frontiers in Physics

      巻: 8

    • DOI

      10.3389/fphy.2020.565372

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 金融時系列の間欠性について2020

    • 著者名/発表者名
      増川純一
    • 学会等名
      MIMS 現象数理学研究拠点 共同研究集会 Data-driven Mathematical Science:経済物理学とその周辺2
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [図書] 株式市場のマルチフラクタル解析2021

    • 著者名/発表者名
      黒田 耕嗣、増川 純一、村井 浄信
    • 総ページ数
      284
    • 出版者
      日本評論社
    • ISBN
      9784535789050
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [図書] 株式市場のマルチフラクタル解析2021

    • 著者名/発表者名
      黒田耕嗣、増川純一、村井浄信
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      日本評論社
    • ISBN
      4535789053
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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