研究課題/領域番号 |
20K04979
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
秋山 英三 筑波大学, システム情報系, 教授 (40317300)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 社会システム / シミュレーション / 実験室実験 / 人工市場 / 被験者実験 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、取引主体の価格変動に対する予測の異質性が、取引行動・価格変動に与える影響を分析する。取引主体のモデルを作成するに当たっては、被験者実験を用いる。具体的には、実験室市場において、取引主体が価格変動に関してどのような予測を行うか、また、それらの予測の異質性と価格変動との間にはどのような関係があるのかを分析する。実験データから行動様式・予測の様式を抽出し、取引主体のモデルを構成する。さらに、構成された取引主体が多数集まった仮想市場を計算機内に構成し、取引主体の集団内の予測の異質性が大規模市場の取引価格の変動に与える影響を分析し、また、マクロな性質を明らかにする。
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研究実績の概要 |
トレーダーの期待に関する情報と資産市場における価格付けの関係を検証する実験室実験に関する論文を改訂し、再投稿した。実験では、トレーダーから将来の価格に関する長期的な予測を聞き取り、その予測の情報に関する異なる部分集合を共通認識としてトレーダーが参照できるようにすることで、予測に関する共有情報がトレーダーの行動に与える影響を分析し、市場予測の中央値に向かって各自が投資行動を調整する強い傾向があることを確認した。さらに、長期的な価格予測の中央値を共通認識とすることでファンダメンタルズからのミスプライシングが解消されることがわかった。近視眼的損失回避(MLA: Miopic Loss Aversion)とプロスペクト理論に関する被験者実験に関しては、新型コロナウイルスへの対応のため、前年度に引き続き、実験室における被験者実験でなく、オンラインで同時参加の取引ゲームを行う実験環境を整え、実験研究の継続を行った。なお、その他、感染対策と経済活動のトレードオフについて分析した Bodenstein et al.(2020) のモデル を二つの地域のモデルに拡張したシミュレーション研究では、両地域間の移動を制限する政策が 経済及び感染状況へ与える影響を分析し、経済ダメージ及び感染者数の抑制に最適な移動制限率を検証し、二つの地域間の移出入率が低い、つまり労働者の行き来が少ない場合は、移動制限率が100%の時に、最も経済ダメージが抑制されることを示した。この結果は国内学術誌に掲載された。また、共有自動運転車(SAV)の東京都心部への導入のシミュレーション研究では、SAVの過剰導入が環境問題に負の影響をもたらすリスクがあることを示した研究が査読付き国際会議論文に採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トレーダーの期待に関する情報と資産市場における価格付けの関係を検証する実験室実験で、2nd order の予測情報の共有が与える影響の分析を計画していたが、新型コロナの感染拡大によって実験室での被験者実験の遂行が困難になったことに伴い、オンラインでの実験環境を整備に遅れが出ている。コロナ禍が正常化したことに伴い、可能な限り対面での実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2年目に実施した、Miopic Loss Aversion&プロスペクト理論に関する被験者実験研究の結果をまとめて学術誌に投稿する。また、2nd order の予測情報の共有が与える影響の分析を行う。
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