研究課題/領域番号 |
20K04980
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
河西 憲一 群馬大学, 情報学部, 准教授 (50334131)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 待ち行列理論 / 応用確率過程論 / モデル化 / 性能評価 / 数理工学 / システム工学 / 応用数学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、客がサービスを受けずに途中退去する待ち行列モデルについて、サービスを受けずに退去する確率や待ち時間分布など、システム性能評価に資する評価指標を得るための新たな数値計算アルゴリズムを構築することである。これまでの研究で得た途中退去のある待ち行列モデルの数値計算法は、行列に関する非線形方程式を解析し、到達待ち時間の確率密度関数を二つの独立な行列指数関数の混合として表現する方法を基礎とする。一方で本研究では、当該の非線形方程式に付随する微分方程式を解析し、到達待ち時間の確率密度関数が一般化された行列指数形式解で表現される新しい方法を探求する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では客が行列を途中で退去する待ち行列モデルに対して,客が途中で退去する確率(損失率)や待つ確率などの性能評価指標を算出する新たな数値計算手法を理論的に探求した.本研究課題が想定する従前の手法では,待ち行列モデルの経過待ち時間に関する確率密度関数を二つの行列指数関数の混合で表現する形式を基礎とする.一方で本研究では一般化された行列指数関数ともみなすことができる時間順序付けられた「行列指数関数」を基礎とする.研究期間の3年目では,1)ポアソン過程に従って到着する客を途中退去時間に応じて複数のクラスに分け,途中退去するまでの時間が一般分布に従う場合を階段状の関数で近似する方法,2)単一のクラスではあるが,客の到着過程がポアソン過程を含むより広いクラスであるマルコフ型到着過程に拡張した場合,を中心に検討した.1)については一般化された行列指数関数を用いる方法が十分な精度をもって性能指標(客の損失率や待ち確率など)を算出することが可能であり,かつ従前の手法よりも計算負荷が軽減されることを確認し,その成果を国内研究会で発表した.2)については1)の理論的な基礎となる非対称Ricatti微分方程式が,マルコフ型到着過程に拡張した場合でも定式化できることを理論的に確認し,同方程式に基づく客の損失率などの性能指標を算出する数値計算プログラムを構築して理論的な結果を検証した.さらに本研究における待ち行列モデルの応用を図るために,5Gネットワークなどネットワーク仮想化技術を活用したシステムへの適用を検討し,研究成果を査読付き国際ジャーナルに投稿するに至った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の2年目と3年目の課題は,1)途中退去時間に応じて複数のクラスに分かれる客が各々ポアソン過程に従って到着する場合と,2)単一のクラスではあるが客がマルコフ型到着過程に従って到着する場合について,一般化された行列指数関数を用いた解形式を理論的に検討することであった.研究開始から2年で,本研究で期待した成果はほぼ得られた状態であったが,2)の課題において数値計算プログラムに基づいた客観的な検証が不足していたたため,これを3年目で補った.よって,当初掲げた本研究課題の所期の目的は達成したと判断できる.以上のように本研究で掲げた課題は研究期間の2年目を終えるまでにほぼ達成していたこともあり,3年目では当初の課題とは別に新たな課題にも取り組んだ.その一つとして,本研究における待ち行列モデルを5Gネットワークなどネットワーク仮想化技術を活用したシステムへの適用を検討し,研究成果を査読付き国際ジャーナルに投稿するに至った.以上を踏まえた結果,概ね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の2年目を終えた時点において,概ね当初掲げた目標に到達していた.3年目では2年目までの研究成果でやや不足気味であった,単一のクラスではあるが客がマルコフ型到着過程に従って到着する場合の成果について,数値計算プログラムに基づいた数値的な方法ではあるが理論的な整合性を検証した.今後は,本研究で得られた成果をまとめること,特に5Gネットワークなどネットワーク仮想化技術を活用したシステムへ応用した成果を論文としてまとめることを中心に推進する.
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