研究課題/領域番号 |
20K04986
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
大越 利之 麗澤大学, 経済学部, 教授 (40458633)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 既存住宅市場 / 仲介人 / 仲介取引 / 参照点 / 順序ロジスティック回帰分析 / 受取許容額 / プロスペクト理論 / 保有効果 / 既存住宅流通市場 / 両手仲介 / 中古住宅市場 / サーチ理論 / 利益相反 / 規制政策 |
研究開始時の研究の概要 |
日本において中古住宅の流通が拡大しない要因の一つに、不動産仲介業者に対する信頼性の問題がある。住宅仲介取引に関する実証分析により、仲介人が依頼人である売手の利益に反する行動をとっている可能性が指摘されている(白川・大越,2017; Okoshi,2017)。本研究では、住宅流通システムの活性化に求められる仲介人の役割や規制政策を検討する。具体的には、仲介手法の差異が住宅流通市場の取引結果に及ぼす影響を定量的に分析し、さらに仲介人の利益相反行為はいかなるメカニズムによって住宅流通システムに影響を及ぼすのか、仲介人の利益相反行為を抑止する最適な規制政策は何かについて、サーチ理論に基づき考察する。
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研究実績の概要 |
本研究は、既存住宅の仲介取引における仲介人の「ふるまい」が取引価格や取引期間に及ぼす影響を検証するものである。2023年度は3つのテーマについて研究を実施した。第一に、「既存住宅の仲介取引に関する売主・買主アンケート」(2021年3月実施)から得られたデータをもとに、両手仲介と片手仲介で取引結果に差異が生じるか否かについて、定量分析を行った。取引価格は片手仲介の方が高くなり、取引期間は両手仲介の方が短くなるという作業仮説の下で分析を行ったが、仮説を支持するような有意な結果は得られなかった。最終年度においても、データや分析手法を見直し再検証する。 第二に、既存住宅の仲介取引の過程において、一般に売り手はリスティング・プライスから徐々に値下げをし、最終的に取引が成立することが多いことに着目し、売り手の「値下げ経験」が取引満足度に及ぼす影響について分析した。分析の結果、実際の売却価格が当初の受取り許容額を上回るか、または下回るかに関係なく、値引き行為自体が売り手の満足度に負の影響を及ぼすことが確認された。既存住宅流通市場への売り手の参加を促進に、「値下げを前提とした商慣習」がマイナスに作用していることが示唆される。 2023年度は、これらの定量分析に加え、不動産業に限らずビジネスにおいて仲介的な機能を果たしている企業を対象に「仲介取引における中立性」についてインタビューを行った。仲介を行う一方に有利な条件で取引を行う方が仲介者の利益を大きくするような状況においても、両者に中立的な提案を行うことが長期的にビジネスを行う上で利になると考える経営者が多いことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画とは異なる2つの重要な研究テーマが見つかり、2023年度中はそれらの研究を主として行った。 また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、国内外問わず、研究調査や研究発表が当初の計画通りに進んでいない。旅費に関する予算執行も大幅に滞っている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、当初に計画した研究に立ち戻り、「既存住宅の仲介手法の差異が住宅流通市場の取引結果に及ぼす影響」を中心に分析を行う。
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