研究課題/領域番号 |
20K04989
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
田村 信幸 法政大学, 理工学部, 准教授 (00349226)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 単調方策 / POMDPモデル / テプレッツ行列 / 特殊な確率順序 / ウィーナー過程 / IG過程 / 保証 / 複数ユニット / 最適保全方策 / コントロールリミットポリシー / ハイブリッド修理 / マルコフ連鎖 / ガンマ過程 / テプリッツ行列 / セミマルコフ過程 / 再生過程 / 非斉次ポアソン過程 / 小修理 / 単調性 / 状態監視 / マルコフ決定過程 / 確率順序 / 最適保全 |
研究開始時の研究の概要 |
劣化状態に関して異なる出力(観測結果)が得られる状況の下で状態監視保全が行われるシステムを記述できる適切な確率モデルを提案し,これを用いて最適保全方策が単調性を満たすための確率順序に基づいた条件を明らかにする.そして,この単調性を利用して最適保全方策を得るためのアルゴリズムを構築する.これによりマルコフ決定過程の分野で良く知られている逐次近似法や政策反復法に比べ計算時間を大幅に短縮することが可能になる.
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研究実績の概要 |
まず昨年度取り組んでいた複数の不完全な修理を選択可能なマルコフ的劣化システムの最適保全方策に関する研究を成果としてまとめ,学術雑誌に掲載することができた.ここで得られた研究成果を用いることで別の問題の解決が可能であり,その結果は本研究課題にも繋がるため,非常に意義のある論文であると言える. 次に問題の難しさ故,方向性を少し変更するという目的で前年度から取り組み始めた稼働環境が確率的に変化するマルコフ的劣化システムに関する研究を引き続き進めた.こちらは今までの問題設定に誤りがあったため,これを修正した結果を国内学会で発表した.結局問題を修正しただけなのでそれ以前から進捗がないことになるが,その一方で難しさとしてネックとなっていた特殊な確率順序とテプレッツ行列に関する問題は解決されたため,現在はさらなる拡張を試みた上で研究を継続している. さらに現在用いているアプローチでは数値計算による定量的な評価が難しくなるという問題にも直面したため,再生関数の近似に関する研究にも新たに取り組み,そこで得られた研究成果を国内の学会で発表することができた.しかし,既存の方法をこれまでと異なる問題に適用し,数値実験を通して考察したという段階であり,現状の研究課題の中で適用可能かまだ不透明な面が残っている. 最後に,現在取り組んでいるモデルは離散状態の確率過程で表現しているが,今後の更なる研究の発展のためには連続状態の確率過程を導入することが不可欠であるという理由から新たに二つの研究に取り組んだ.一方はシステムを構成するユニット数をこれまでの1個から2個へ拡張し,かつ故障メカニズムを表すための新たな確率モデルを構築した.もう一方の研究では,これまで考慮していなかった保証期間の概念を導入したモデルを構築し,理論的及び数値的に意味のある結果を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度の目標は概ね達成できたものの,それ以前の遅れは取り戻せていない.また,これまでとは異なる解析方法として注目した再生関数の近似法については当初期待したほどの結果が得られない可能性があるとの判断に至ったため,さらに別のアプローチに取り組み始めたことも遅れを取り戻すことができなかったことに影響している.しかし,今後の問題解決に繋がる結果が得られた研究が論文として掲載されたため,全く先が見えていないというわけではないと推察している.
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今後の研究の推進方策 |
2年前に直面した問題については前年度の研究により解決の方向性を見出すことができたため,研究を継続することで少なくとも国際学会で発表可能な成果は得ることができると考えている.また,同じく前年度掲載された論文で得られた結果を用いることで,本研究課題のキーワードである「複数の観測方法の選択」が可能な状況の中で現れる問題と関係する問題を解決することが可能と推察している.こちらは順調に研究が進めば研究成果を論文としてまとめることができると考えている.最後に,更なる研究の発展を目的に取り組みを開始した二つの研究の内の一つについては,先行研究とは異なる構造のコントロールリミットポリシーが得られることを理論的に示している.ただし,理論的な考察がまだ不十分であるため,この問題の解決の程度によっては国際学会での発表だけでなく論文として掲載できる可能性もあると予想している.
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